君のおかげ。
ガシャンッ! 耳をつんざくような音。 そして、先生の怒鳴り声。 「おい、水川!どれだけシュート外してんだ!真面目に取り組め!」 「すみません…。」 私は水川緋奈。 高校二年生のバスケ部。 大きな大会が近づいている今、私は絶賛スランプだった。 どうしよう…、もう少しで大会だ。 こんなんじゃ、スタメン取れないよ…。 プレッシャーからだろうか。 最近は思うように体が動かない。当日、みんなに迷惑かけちゃう…。 ぎゅ、とボールを抱きしめた時。 「きゃーーーッッ!!!! 新城くーーーーーーんッッッッッッ!」 男子バスケットボールの方から、女子の黄色い悲鳴が聞こえてきた。 もちろんその中心にいるのは、新城くん…新城早人くんだった。 彼はバスケ部のエース、学校の王子様。 人当たりが良く、いつでも笑顔な私の好きな人。 …諦めてるけど。 バスケも下手で顔も可愛くなくて。こんな私を誰が好きになるのだろう。 そう考えながら、私は彼から目を逸らした。 「おはようございます。」 「っえ…。」 いつも通りみんなより早く来て朝練をしていると。 新城くんがきた。二人きりだ。う、うそ…。 こんな状況じゃ、まともに練習できない。 シュート外しまくってるところ見られたら、恥ずかしい…。 「…ねぇ、水川さん。」 「ひぇッ!」 急に彼が話しかけてきた 「一度、シュートしてみて。」 「え、あ、はい…。」 逆らえず、私はボールを投げた。 …ゴールに跳ね返ってこちらに戻ってくる。 「きみ、ここの肘が曲がってゴールを見れてないから…。」 こうして、新城くんのレッスンが始まった。 そして大会当日。 緊張で吐きそう。今までの練習の成果はあったのかな。 ぐるぐる考えていたら、あっという間に試合終了時間が迫ってきた。 24対25。1点さで負けてる。 「緋奈ー!」 私に最後のボールがパスされた。 残り5秒。新城くんは試合をみにきてくれるって言っていた。 彼を、信じなきゃー。 私は思い切りスリーポイントシュートを打った。 ねぇ、新城くん。 このシュートが入ったら。 君のおかげだねー。