春の桜
「今年もこの桜は咲かないのね…」 ぽつりと私は縁側でいうのだ。 この桜が咲かなくなってからどのくらいの時間がたっているのかはわからない。 この桜の木遠い昔に切り倒されてしまったままもう起き上がることができないのだ。 そう、まるで今の私のようだった。 私は、あの寒い冬の日からずっと切り倒されてしまったまま。 私の心は切り倒されてしまったのだ。 この桜の木も切り倒されたまま。 私は、毎年、この切り株だけを見つめているのだ。 木は、再生することはない。 切り倒された時点でその生涯を終えてしまうのだ。 私の心も再生しない。 でも、立ち直らなければ。 今は、春なんだから。 寒い日のことだなんて忘れなければならないのよね。 これからの人生、私は時間をかけて立ち直っていく。 私の心は再生されていく。 私は、それを信じる。