彼のあの匂い
私、橋良由緒(はしばらゆい)は歩道橋の上を歩いていた。今日の出来事を整理しながら道路を眺める。まだ、今日の出来事が信じられない。放心状態の私は思わず前に体を寄せていた。 私はめちゃくちゃ青春してる女子高生!恋に心を踊らせながら友達とわいわいしてる。いわゆるリア充だ。わたしの彼氏は少し流されやすいけど優しい人。小吉海音(こよしかいと)っていうんだ。今日も彼とデートをする予定で友達の実菜(みな)にメイクをしてもらっている。あの人気YouTuberのりなりながプロデュースしているブランドのrinarinanのチークを今塗ってもらっている。火照ったような頬がかわいい。そんな妄想をしている間にメイクが終わった。髪を整えて、笑顔の練習して…っとこれでかんぺき!授業が終わると同時にダッシュして待ち合わせ場所の場所へ向かう!が、そんなわたしのドラマみたいな恋の妄想に邪魔が入った。頭が真っ白になって力が抜けていった。私の視線の先には海音と知らない女が手を繋ぎ、幸せそうに微笑んでいた。私は歩道橋に手を掛けた。そして無意識のうちに私は宙を舞っていた。バーンッ!ボーンッ! 私は車に轢かれた。が、奇跡的に命に別状はなかった。お見舞いにはほぼ毎日私の母親。シングルマザーで育ててくれた。母の名前は橋良悠子(はしばゆうこ)。私が一番尊敬する人。母親は毎日のようにくるが、海音は来てくれない。絶望の渦に巻き込まれていた。もう振られたも同然。そんな自分に失笑するしかなかった。疲れたのだろう。知らず知らずの内に深い眠りへと落ちていった。 次の日……私はたくさん砂がついたようなスニーカーの音で目を覚ました。それは、、、、、、海音だった。驚きのあまり少し声をあげてしまった。そのつぎに出た言葉はこうだった。 「あの女は誰だったの」 海音はおどおどした様子でな、なんで?とこっちをみている。私の目線から見たその日を話し、彼はこう言った。 「その人、僕のお姉ちゃんだよ」 驚きと安堵が入り交じり、泣いてしまった。病室にお見舞いに来なかったのは部活と勉強が忙しかった、精神不安定なんじゃないかと思っていた。からだという。そこから少しの時間、彼の腕の中で子供みたいに泣きじゃくった。 「少し落ち着いた?」彼の甘い声で泣き腫らした目を上げる。そうして、彼の話を聞いた。 彼女(彼の姉)の名前はは小吉璃子(こよしりこ)。彼の三つ上のお姉ちゃん。職業は美容師をしているという。少し話して、彼が謝った。 「僕のせいで怪我を終われちゃってごめんね」 彼の優しさに私は虜になってしまった。 「ままー!ぱぱー!」娘の真衣と息子の悠斗がにっこにこの笑顔でこっちをみている。今はこの上ない幸せを味わっている。私の横には彼がいる。これからいろんなことがあるだろう。だが、どんなこともこの人となら乗り越えられる。そう誓い、彼の腕に身を任せた。