タイトル | 香君(上)西から来た少女 |
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著者名 | 上橋菜穂子 |
出版社 | 文藝春秋 |
あらすじ | 香君。それは、香りで万象を知り、人々を導く存在。遠い昔、初代香君が神境より“オアレ稲”をもたらした。オアレ稲はどんな痩せた土地でもよく育ち、ウマール帝国に豊かな実りを与えた。だが、オアレ稲は強すぎる。そのため、王族とごく限られた人にしか知られていない肥料によってオアレ稲は抑制されていた。が、ある日オアレ稲に発生した虫害により、盤石だった帝国の仕組みに亀裂が走る。また、オアレ稲を独自に育てようと画策する属国もあった。そこへやってきたのが、香君と同じようにものの香りを感じ取ることができる少女、アイシャだった……。 |
感想 | 「香りで万象を知ることができる少女がいたら、彼女の人生はなんて豊かで、なんて孤独だろう。」上橋先生は、あとがきでそう語っていました。最初、僕はこの本のあらすじを読んだとき、彼女の他作品である「鹿の王」や「獣の奏者」に似ているな、と感じました。鹿の王は国に蔓延った病について、獣の奏者は生きとし生けるものについての話です。小さな歪が国の根底をぐらつかせる。まさに上橋ワールド全開の本でした。巧みな伏線、香君とオアレ稲の秘密、なぜアイシャは香りを感じ取ることができるのか。先生の、自然の精気がたっぷり含まれた滋味で淡白な筆致で綴られています。読んで損はないと断言できる本です。 |
おススメ度 | ★★★★★ |
紹介者 | 柊馬(中学3年生) |