人間椅子

著者名 ちょしゃめい 江戸川乱歩
出版社 しゅっぱんしゃ KADOKAWA
あらすじ 主人公は洋館の豪邸に住み、官僚の夫が出かけると書斎で執筆にあたる婦人作家。彼女にファンから一通の長文が届いた。 そのファンレターには以下のようなことが書いてあった。 「私は醜い容姿であるために女性に見向きもされずに生きてきた、しがない椅子職人である。ある日受注した椅子を作ってる途中に椅子に自分が入り込むというアイデアが浮かんだ。早速、椅子を改造し、入り込んだ。 そのまま外国人向けのホテルに運ばれると、たくさんの人が自分が入った椅子に座っていった。実は目的は夜な夜な椅子から抜け出しての盗みであったが、その目的も人に座られるという奇妙な体験により上書きされていった。 ある日、素敵な外国人女性が座った時は恋するような感覚になったし、要人が座った時には椅子の中からその人をナイフで刺したらちっぽけな自分も世界に激震を与えられるかもしれないとも思った。 そんな中、ホテルの経営方針が日本人向けに変わるにあたって、西洋風の私の椅子はある豪邸の官僚に買われることになった。ある婦人がこの椅子に座ることになったが、その"座られ心地"は天にも昇るほどで前述した恋を超えた特別な感情があった。 さて、勘の良い奥さんならお気づきかもしれないが、この椅子というのはあなたが今座っているもののことである。私は醜い容姿なので恐縮だが、是非奥さんとお話がしたい。今は椅子から抜け出し、中庭にいるのでお会い頂けるのであれば窓からハンカチを振っていただけないだろうか。」 婦人作家は悲鳴を抑えて部屋から飛び出した。椅子を分解する?あの男の残したものが出てきたら恐ろしい!など考えながら走っていると女中にまた手紙を渡された。 恐る恐る開けてみるとこう書かれていた。 「私の小説、読んでいただけましたでしょうか。タイトルはそうですね。『人間椅子』とでもしましょうか。」

むぎ (中学1年生)

おススメ度:

StarStarStarStarStar
短編なので多くの方に勧めたい名作。 慣れない言葉づかいが読みにくいところもあるが、一時間ほどで読める短編になっている。 変態が自分の性癖をある女性に告白するという話であるが、これが心底気持ち悪くゾッとする。 今の時代でも内容の異常な不気味さに鳥肌が立つ内容なので、当時は衝撃的問題作だったのではないかと思う。 穏やかで紳士的な異常性癖者の恐怖がリアルに描かれている作品。初めは本当にこんなことを考える人がいるのだろうか、変態趣味すぎるなと思っていたけど、私たちが読んでいた話の中も物語。ほんとにゾクゾクしました!
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