お守り
私はもともとそんなに体が強くなかった。 体育はいつも休まなければならなかったし、みんなが「めんどくさー」と言っている球技大会や水泳大会にはもちろん出れないし。みんなが言っている「めんどくさい」を、私も言ってみたかった。 「ねえねえ、ズル休みなの?」 転校生の……赤坂さんだったかな?が、いきなり聞いてきた。 「ちょっ、千夏ちゃん!花織は体が弱くていつも体育に出れないの!」 そう、クラスメートが言ってくれたけど……ちょっと、もう赤坂さんとは話せないなと思った。ムリだよ、そんなずかずか事情も知らずに聞いてくる人。 「ふーん。そうなの」 赤坂さんは慌てることもなく、私の元を去っていった。 「……はぁ」 あーあ、明日の学校いやだな…… あれから毎日、赤坂さんは私にしつこく話しかけてくるようになった。 「ねえねえ森川さん、飴いる?」とか、「森川さんってサンタ信じる?」とか。 私は飴は好きじゃないし、サンタを信じる?っていきなり聞かれてもびっくりする。 しかも、彼女は表情があまり読めないのだ。 いつも無表情だし、なにより誰かに話しかけるとき顔のシワが寄るのだ。 先生に言われて、イヤイヤ話しかけてるのかな……そんな自分を削ることしなくてもいいのに…… 赤坂さんには、人を寄せつけないようなオーラがあるみたいだ。 それは薄くて、すぐに蹴破ることが出来そうなのだが、意外と反発性がある。そんな感じだった。 「……森川さん、何やってるの?」 「わっ、赤坂さん!?」 噂(?)をすれば赤坂さんじゃないか。……やっぱり、しかめっ面だ……。 「邪魔だった?どくね」 そりゃ道のど真ん中に居たら邪魔だよね。うちは田舎で、車も特に通らないから真ん中に居ても大丈夫なのだ。 「……ううん、そうじゃないの。ずっと、森川さんに謝りたかったの」 え? 「だって、結構前にひどいこと言っちゃったじゃない。体が弱くて、本当は体育に参加したいことも、私知らないで……」 「えっ?!私、誰にも体育出たいなんて言ってないよ!?!?」 「森川さんって顔によく出るから」 なるほど……バレバレだったの。 「だから、前から謝りたかったんだけど……話すの、苦手で。前はずっと1人だったから」 赤坂さんが話すの上手くないの、そういうことだったのか。 「この前は、ごめんなさい。あと、これはお詫びの気持ち」 そう言って、赤坂さんはポケットを探った。 「……お守り?」 「そう、お守り!私の地元の神様は、スポーツとか体調とかに関連してる神様なの」 そう言うと、今まで見たことないくらいのとびきりの笑顔を私に見せた。 「なあんだ、ちゃんと笑えるじゃん!」 そう言ってから、私はポロッと口にしてしまったことに気づく。 「え?私今まで笑えてなかった?」 「あ、う、うん。ぶっちゃけ、仏頂面だった……」 「ええ!?自分なりに笑ってたんだけど……」 あはっと思わず笑ってしまう。ただ、赤坂さんは不器用なだけなんだ。 最初は「ええ、なんで笑うの?!」と言っていた赤坂さんも、私があんまり笑うからつられて笑う。 静かな秋の夕方に、2人の笑い声が響いた。 それが、私が中1の時の話。 今では高校生だ。 「ちーなつっ!帰ろ~」 「うん、花織!」 千夏はもともと明るい性格を秘めた1匹狼だったようだ。今ではクラスのムードメーカーの1人である。 私はまだ、体育には出れていない。「お守り、効いてないのかな」と千夏は言っている。 でも、私は分かってるんだ。 このお守りがなければ、私と千夏はきっと打ち解けなかったこと。 そして、千夏の地元の神様は、友情の神様でもあることを私は知っている。 「花織?もう帰ろーよー。クレープ屋さん閉まっちゃうよ!」 「うん、そーだね!」 今でも私のスクールバッグには、お守りが付いている。 主)これは短編なのだろうか……そもそも短編って何だ??
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凄いっ!
私も病気の関係で、体育は基本的に見学なので、花織さんの気持ちがよくわかります。私にも、千夏さんみたいな友達が出来たらい~な~
こういう
こういう友情物語好きだよっ!すごいいいお話!!