誰かの特別な人になりたい
特別なんていらない。そう思ってた。 学年が一つ上がり、クラス替えの時期。 俺のクラスにはたった一人しか友達と呼べるような子はいなかった。その友達は歌音(かのん)という名前で、一年くらい前に知り合って、それからはとても仲良しだった。 ある日、体育の授業で外に行くと、みんな友達と話していて、俺だけ浮いている気がした。ちょうど歌音は誰とも話していなかったので、話そうとし、歌音の近くに行った。歌音は急に来た俺にびっくりしたのか、びっくりしたような顔で、「どした?」と聞いた。俺は、「友達、歌音しかいないから。歌音と話そうと思って。」と言った。そうしたら歌音は、少し黙って口を開いた「私には友達は5人。このクラスには、友達と呼べるような人はいない。友達って、本音で話し合える人のことを言うと思ってる。」 そう言われた途端、言葉が出なくなった。俺は友達じゃなかった。俺は5人の中に入ってなかった。俺は……と考えると、心が重くなっていくのがわかった。 学年全員合わせて約150人いるなかで、たったの5人。俺はその中に含まれていなかったんだと思うと、歌音にだいぶ無理をさせていたのかもしれない。 だけど俺は気付いた。自分の気持ちに。俺は誰かの、“特別な人”になりたかったんだ。と。