ホラーのはずだった話 【長文・ぐだぐだ】
「よし。集中だ、僕」小声で集中力を高める。 今、僕の前には僕がいる。まあ、正確には鏡に映っているだけだけど。鏡の僕をじっと見つめながら、息をはく。そして、「パチン!」と指をならす。 (時よ、戻れ!) ...。沈黙がいたい。 「はぁ~。」 大きなため息をつき、やっぱりな、と呟く。今、僕が何をしようとしたのか?答えは「時間を戻そうとした」だ。結果は明らかだった。そりゃ、そうだ。僕だってこんなオカルトっぽいの信じちゃいなかったし。 じゃあ、なんでやったんだよ。という疑問はもっともだ。 それはこういうわけだ。 ~昨日~ 「なあ、知ってる?『トキメグリ』の話。」 「は?なにそれ。名前からして胡散臭いな。」 「最近流行りの噂だよ!夕暮れどき、ウツシ池に行って鏡を水にくぐらせる。夜中の0時半になったら、鏡にむかって指を鳴らして『時よ、戻れ!』って念じる。ってやつ。」 「誰も説明なんて求めてないよ。てか、嘘だろ。」 「わかんないぜ?集中しないと鏡の中の自分にのまれちまうんだと。」 「はいはい。そうですか。」 ってかんじでさ。誰だって、「毎日休みだったらいいのに!」とか思ったことあるだろう。ないとは言わせないぞ。もし、これが本当ならその夢が叶うのだ。試してみる価値はある。幸か不幸か、好奇心だけは人一倍だからね。 ...別に、いつもさえないあいつが、あの子に告白してるのを見て、僕だって告白しようとしてたのに!とか思った訳じゃない。決して。 それで、とりあえずウツシ池に行って鏡をぬらしてきた。ウツシ池は(すいこまれそうだ)っていうありきたりな表現しか思いつかなかったけど、まさにそんな感じなんだ。ちなみにお気に入りの靴が犠牲になった。(泥まみれになったんだ!) 夜はどうしても起きてられなくて、2日も失敗したけど今日は土曜日。昼の12時半にやってみた。一応、部屋は暗くした。しかし、何も起こらない。 ピンポーン。? 誰だ?そう思いドアを開けた。 「おい、お前俺と遊ぶ約束忘れて何やってたんだよ!」 「ごめん。すっかり忘れてた!」 「ったく...。もう、お前の家で遊ぼうぜ。」 「え。」 まずい。まだ鏡を片付けてない。あんな返事したのに、万が一ばれたら赤っ恥だ。 「今日は家、誰もいなくて気の利いたものとか出せないし、外行こうよ!」 「なんか、言い訳っぽくない?まあ、いいよ」 やれやれ、危ない。 ウツシ池の方まで行って遊んだ。やーい、あいつ転んでやんの。しょうがないな。土ははらってあげるよ。 帰るころにはすっかり陽がかたむいていた。 部屋に戻り、ふと、鏡のことを思い出した。引き出しから鏡を取り出しのぞきこむ。その瞬間、視界がとんだ。 「パチン!」 軽い音がきこえた気がした。と思ったら別に大したこともなかった。 「あれ?!鏡が...!あ,床に落としてただけか」 拾い上げ,割れていないことを確認する。鏡が割れるのは不吉らしいし。 とそこで違和感を覚える。 シャッとカーテンをあけると,眩しさに目がくらんだ。あわてて閉める。? 混乱しながら椅子に座り,鏡を見ながら言ってみる。 「よし。集中だ,ぼく。」 指を「パチン!」とならすけど,あまりいい音はでなかった。 さっきから,何か変だ。これ、前もやったよな...? ピンポーン。やっぱり,ドアを開けたら恐らくあいつがいるんだろう。 「『トキメグリ』をやるときは,集中しなきゃだめって知ってたろう?」 ? 僕だ。立っていたのは僕だった。 「聞いてんの?!」 ッ! 「ああ。外行こう。」 夕方まで遊び,帰る。「パチン!」 まただ。ずっとくりかえし。 これ,戻るというよりループじゃないか? ___無限ループ 「『ぼく』はもう抜け出せない_____。 なんて,ごめんだ!あ,無意識に鏡にむかって指鳴らしちゃったし。落ち着いて考えろ。これはループしている。最初の行動からはずれるんだ...!パッとひらめいた瞬間, ピンポーン。 「来た...!」 ドアを開く。僕がいる。 「『トキメ......!」 一瞬で口をふさぎ,家に引き込む! 「うるさい。戻れ。」 僕の目の前でぼくは指を鳴らす。「パチン!」といい音がした。 視界が白い。まさか、失敗...? 恐る恐る、目を開ける。 部屋の中に立っていた。カーテンを開くと赤い空が目に飛び込んできた。成功だ...! やれやれと息をつく。疲れた。 「ぼくも,もう少し遊びたかった。」 「僕は戻れて、心底ほっとしてるよ。」