サヨナラの君と雨
ある雨の日、俺は大学のすぐ近くの公園で彼女に呼び出された。 「さようなら、悟(さとる)。私たちもう別れましょう」 突如、彼女に言われた言葉は衝撃的だった。 「な、なんでだよ?夏鈴(かりん)?」 俺はわけがわからなかった。 (なんで?俺なんかダメなことでもした?) 「ごめんなさい。それじゃあね」 そういうと、彼女は笑顔でさっそうとその場を去っていった。 「訳が分からないんだが、なんでだと思う?」 俺は何でフラれたのかがわからなくて友人の友樹(ともき)に相談した。 「なんでだろうな?お前なんかやったのかよw」 酒が入っているからか今日の2人飲みのネタは俺のフラれ話だけとなった。 「あーもう!あんな女どっか行っちまえよ!」 次の日、ガンガンする頭を抱えて、1限目に間に合うように急ぐ。 (昨日あんなに飲むんじゃなかった) と多少後悔しながらも大学へと足を運ぶ。 1限目が始まる...の、だが夏鈴の姿が見当たらない。 (あいつどこいったんだ?) 1限目が終わり教授に夏鈴のことを聞いてみるも話を濁され返答は帰ってこない。 そうして見事に昨日の「あーもう!あんな女どっか行っちまえよ!」のフラグを回収してしまった俺は愕然としていた。 いろんな奴に夏鈴のことを聞いても、知らないらしい。 最後に聞いたのが夏鈴の親友の桃寧(ももね) 「夏鈴のこと知ってるか?」 そう聞くと桃寧は少しビクッとして 「知らない」 とバレバレの嘘をついた。 「おいwそんなんではいそうですかってなるわけないだろw夏鈴はどこ行ったんだ?教えてくれよ」 と俺は軽く桃寧に聞いた。 「そんな、ヘラヘラしてる人なんかに教えられない!」 と言うと桃寧は走り出していき人の中へと消えた。 俺は、なんか大事なことでもあったのか?事故?病気?と不安に駆られていた。 俺の予想は大当たりした。 桃寧を見つけるために2限目は走り回った。 (よかった。ちょっと多めに単位とっといて)と思いながら桃寧に事情を聞いた。 簡単にするとこうだ。 夏鈴は難病にかかっていてそれを直すために海外へと行く予定。 成功率は10%以下で悟を悲しませたくないから別れた。 今日の14時から飛行機が飛ぶ。 「何だよ何だよ!そんなの気にしないよ早く言えよ!!」 俺はタクシーを捕まえてすぐに空港へと向かった。 あと残り時間30分のところで空港へ着いた。 俺は空港の中を走り回った。 「夏鈴!いた!」 人があまりいない端っこのほうに夏鈴は座っていた。 「さ、とる?なんでいるの?」 夏鈴の驚いた声が聞こえる、あぁまだ生きてる。 「なんで病気のこと言わなかったんだよ!!俺、そんなに信用ないかな?俺、頑張ってたつもりだったんだけど。それは夏鈴には届いてなかった?」 言いたいことを言えた。まだ夏鈴がここにいるうちに。 「そんなことないよ!!信用してたし、いっつも笑わしてくれて楽しかった。だから嫌だったの。悟にだけは嫌われたくないの!」 と夏鈴も自分の気持ちを俺に張り合うように言う。 はたから見ればバカップルかもしれないが俺たちは真剣だった。俺たちにはこんなことでしか伝えることはできないから。 「俺は夏鈴が生きて帰って帰ってくるって信じてるから!ずっとずっと待ってるから!」 「分かった。ありがとうね!」と彼女が涙を浮かべながらも笑顔で飛び立った。 今日は運がよさそうだ。 あれから2年。俺はみごとなまでに夏鈴の未来を言い当て、夏鈴は手術を成功させかえってきた。 今日は俺と夏鈴の結婚式だ。 「今日、神の前で誓うよ夏鈴。お前を一生守るって」