恋の葛藤
ガラッ、とそんな音を発てて勢い良く教室の横開き扉を開く。 廊下を歩き、ここに来るまでに至るまで、普段とは違うところがある。 何処に居たって耳に入るのは誰かの喋り声。 いつもならこんなには煩くない筈なのだ。 ……だが、こうなるのも無理は無いだろう。 何故ならば、今日は―― 「お前貰ったか? 佐藤がよ、彼奴下駄箱の中にあったらしいぜ。羨ましいよな」 「僕には関係無い」 年に一度の、バレンタインなのだから。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 正直に言おうじゃないか。 うん、少し期待してた気持ちはあった。 貰えると良いな、何て淡い思いを抱いていたよ。 だが現実は非情で、そう簡単で甘くは無いのだ。 今は下校時間を少し過ぎたあたり。 放課後に誘われるか、とも思ったがそんな奴は居ない。 俺は少し悔しさを胸に、一人で帰路を辿る事にしたのだった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 神様、どうか今日は味方してくれませんか。 私はそう思いながら、待機していた。 私は今朝渡そうかとも思ったが、勇気が足りず、渡す事まで到達出来ずにいる。 だからこうして彼の下校時に通る場所の自販機のところで待機をして居るのである。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ いつ頃だっけな、あの時は。 俺は何時も通りにある自販機を通った時だ。 クリスメイトの女子が突如現れ、いい放った。 「付き合ってくれませんか」 と――