キミガメガネヲシテイナカッタラ。
『…僕は…その、ゆ、雪菜のことが…す、好きです!』 私…高橋雪菜は、一瞬自分の耳が壊れてしまったのかと思った。 『…うん。私もだよ…』 不思議だ。いつもだったら、口から言葉が溢れて会話が弾むのに、今は驚きと喜びで、口が固まってしまう。 彼…坂川悠希を知ったのは、一昨年…私が四年生の時だった。悠希は、いつもクラスの真ん中にいて、だじゃれを言ったりと面白い人だ。そんな悠希を、私はいつの間にか好きになっていた。 でも、ある日。『あっ!』悠希がメガネを落としてしまった。それを見た私は、『はい。』と、拾ってあげたのだ…けど。私は目を疑った。メガネをしていない悠希は…なんというか、いつもの悠希の雰囲気ではなかった。それだけだ。でも。『ありがと。』『……』『…雪菜?』気がつくと、私は教室を小走りで出ていた。なんでだろう…。悠希はなにも悪くない。メガネを外しただけなのに…私はその悠希を好きになれない!私は世界一残酷な人間かもしれない!私は泣いた。それも、悠希のことではなく、自分に腹が立ったから。 …何分たっただろう。目が重くなっていた。もうやだ。学校にすらいたくない…!そう、思ったとき。 『…雪菜。』…優しい声だった。見上げると、私の大好きな顔があった。『悠希…ごめんなさい!』『ううん…いいんだけど…』『そうじゃなくて…』私は正直に話した。嘘なんてつきたくなかったから。『…』もちろん、悠希は悲しい…なんて言葉では表せない顔をしていた。『えっと…だから、』『うん…じゃあ、僕はもう…』『じゃなくて!…その、どの悠希も絶対に好きになって見せるから!』『…え?』それって…、と言おうとした悠希を前に、『それまで、待っててくれる…?』と、言った。『…おう!』 君がメガネをしていなかったら、こんなことにはならなかった…でも、このことで、悠希との距離が縮まった気がした。