開かずの扉
「なんでだ…っ!」 押しても引いても、横にスライドしてみても。 ぴくりとも動かない扉。鍵穴やカードリーダーは無い。内側から鍵をかけるタイプのものでもない。 開けないと、なんとしてでも。 この中には。この扉の先には。 ー大切な人が、親友が、閉じ込められているのだ。 このままでは彼は死んでしまう。 「く、そ…!!」 体当たりした扉が大きな音を立てる。かなり勢いをつけたが、扉は壊れたり外れたりする様子が全くない。 なにをしても開かない扉に、苛立ちと、焦りが込み上げてくる。どうすればいいんだ、このままでは彼が…! -「ひとりにして…ひとりにしないで…ひとりにして…」 どこからともなく聞こえてくる声。これは紛れもなく彼の声だ。 ----「俺なんか生きてても何の価値もないんだよ…!俺なんかいても邪魔になるだけだ…!」 …彼が、俺に向かって放った言葉。「お前は完璧だけど、俺なんかは何も出来ない出来損ないなんだよ…」 …お前は、出来損ないなんかじゃない、いいところも沢山ある。俺も完璧じゃないんだ。そう伝えたかった、 わかってほしかった。 だけど。 結局彼に優しく寄り添ううことが出来なかった。彼を止めるのに精一杯で、どうにかしようと焦って頑張っても、 かえって彼を傷つけてしまった。 彼の事を考えて行動した気でいた、「自分勝手」だった。 この開かない扉を、無理やり開けようとするのではなく、 優しくノックして、そっと待っているべきだった。 ーコンコンッ 「……ごめんな。‥‥もう無理は言わないから。ひとりにしないから。」 -今度こそは優しくノックして。
みんなの答え
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素晴らしい!
素晴らしい話ですね…! 特に表現が良い。
驚きました
表現がすごくいいですね! てっきり、親友が何者かに閉じ込められたかと思いましたが、何者かは彼自身だったんですね...。 たたいていた扉が心の扉とわかり、感動しました。文章力もすごいです。