箱庭の中で。
「では、またお伺いしますね__」 ガチャン、バタリ。 無機質な扉の音が響いた。 「……ねぇ、担任の先生が来たわよ」 「クラスの皆が色紙を書いてきてくれたわ」 「もう直ぐ体育祭なんですって」 「行ってみたらどう?」 布団にくるまり、聞こえない振りをした。 「嗚呼」 その少女はぽつりと呟いた。 その声は誰にも届かず、暗い部屋の中で消えていった。 『待ってるよ』『体育祭、見に来てね!』『はやく元気になってね』 そう綴られた色紙を乱暴に投げ捨てる。 (…誰も、そんな事思ってない癖に) 少女の立場を話すとしたら、単純だ。 不登校児。 別にこのご時世珍しい事じゃない。 きっかけなんて物は無い。 否、本当は有るのかもしれない。 しかし少女にはわからない。 ただ、何となく、休みたかった。 目を閉じれば次々と浮かんでくる不安。 このままでいいのか、将来はどうするのか……問い出したらキリが無い。 心を落ち着かせる様に呼吸をし、体中の力を抜く。 そのまま一分と経たない内に、暗い部屋には寝息が響く。 毎日、同じような日々を送っている。 明日も、担任は来るだろう。 明後日も、顔を見ないだろう。 また暫くして、色紙が届けられるだろう。 そして、明日も、明後日も、暫くしても。 少女は、この箱庭の中で眠るのだろう。
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とっても表現が好きです!大人が書いたような言葉使いでとっても素敵で面白かったです!
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