悪夢と泣き虫。
カラカラっ、とベランダの窓が開く。ベッドに寝っ転がっていた私・・・あゆりは、ちらりとそちらに視線を投げた。 カーテンがもぞもぞと動き、幼馴染みの利人が顔を出す。ああ、思った通りだ。少し目元が腫れているし、腕には枕を抱えている。 『・・・眠れない?』 ただ一言そう聞けば、利人はこくんと頷いた。 表では【近寄り難いクールイケメン】で通っている利人。だがその本性は・・・とんでもない泣き虫ボーイである。 幼い頃から、同い年の私が姉代わり。利人が悪夢を見た時、慰めるのは私の役目なのだ。 『ほれ、入んなさい冷えるから』 身体を起こし、部屋へ入るよう促す。利人はズッと鼻をすすりながら、大人しく私の隣に座った。 そのまま、私に抱きついて脇腹に顔を埋めてしまう。相変わらず小柄だなぁ。しばらく放っておいたら、ぼそりと利人が呟いた。 『・・・あゆりが死ぬ夢をみた』 『全く縁起でもない夢見たね・・・』 ギュウ、と抱きつく力が強くなる。 『・・・すげぇ怖かった』 そのまましくしく泣き出してしまった利人を引き剥がして、流れた涙を拭ってやる。 『まあ落ち着け、私死なないし!』 切れ長の目の下をそっとなぞる。 しばらく背中をとんとんと叩いてやっていたら、利人は安心したように眠り始めた。 全く、世話の焼ける幼馴染みだ。 でもそれも、悪くはないかも。 利人の髪を弄びながら、私は小さく微笑んだ。