扉の向こうは?
「犯人はあなたです!!」 そういってビシッと指を突きつける。 鏡に向かって。 廊下の鏡は大きくて、全身がうつるからつい、ポーズを決めたくなる。 すると、ピカーッと鏡が光り、次の瞬間にはまるで知らない場所にいた。 しばらく、鏡の光でくらくらしていると、声が聞こえた。 「おや。ついにここに迷い込む方がいましたか。」 「?」 顔をあげるとスーツをピシッときめた少年が立っていた。 「大丈夫ですか。」 驚いて声も出ず、こくこくと赤べこみたいに頷く。 もしかして、あの鏡が原因?そういえば、あの鏡、前からちょいちょい光ってたっけ。 「あの...ここは...?」 そこはホールのようで、周りを見渡すとドアがならんでいた。 「ああ、ここは、不思議な空間です。」 「はあ。」 なんだ、それ。まんまだ。 「色々なお話の中継地です。ドアを開ければ、あっというまにお話の世界の登場人物。SF、ラブコメ、ミステリー。どんな話も揃ってます。とくとお楽しみください。」 よく見れば、それぞれのドアの上にプレートがかかっている。「恋愛」、「ファンタジー」、「サスペンス」。 僕の出てきたらしいドアは「日常」だった。普通の世界ってことか。 「他のドア、開けてもいいんですか?」 「ええ。どうぞ。」 「帰れなくなったり...。」 「しません。」 「実はあなたは死神で...。」 「違います。」 「お前は一生物語の中で暮らせ!とか...。」 「言いません。っていうか、さっきから疑いすぎでは?!鏡からワープ、は信じるのに何でですか?!」 「あ、ついつい。じゃ、開けます。」 「あ。待って。行く前に、ルールを覚えていただきたいのです。 一つ。話の流れを曲げない。 二つ。主人公たちに代わることはしない。 三つ。ここの存在を明かさない。 ここから物語に入る場合、物語を自然に終わらせるのが最も重要です。おぼえてください。」 「わかった。でも、主人公にはなれないの?」 「それは、あなた次第です。」 そして、僕は「コメディ」のドアを開ける。 「お楽しみください。お帰りの際は、帰るドアをお間違えにならないよう。」 僕は光につつまれた。 ここは、現実と物語の世界を繋ぐ空間。 今日は思いがけない方と会いました。データの採取のため、そのまま他の場所にお送りしました。危険はありませんので。 ここでは、色々な物語が生まれます。その場面に立ち会えるなんて素晴らしいでしょう? それを管理し、色々な方に楽しんでもらうのが私の仕事。 って、あ! ちょっと、誰ですか。ドアを開けっ放しにしたの。開けたら閉めないと!特にこのドアはまずい...。 ん!そういえば彼にルールをひとつ、伝え忘れました!まあ、いいか。 「現実と物語が直接関わることは、それを目的としない限り禁ずる。」 そんなルールを思い出しながら、少年は 「現実」 のプレートがかかったドアを閉めた。 小説を書くのも、他の方の作品を読むのも、楽しんでくださいね。 バタン。 ....................................................................... .......................................................................
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本の世界を舞台にしてて素敵です! 話の進み方がとてもリズミカルですね