Fight
先生が私に近づいてくる。 私は先生の注意を引くつもりで読んでいた本を閉じるか、教科書に隠すか迷う。これは私と先生の戦いだ。 隣の席の折木(おれき)くんが緊張した面持ちで私を見つめる。 ついさっきまではクラス一の美少女と先生との戦いだった。だが、それも一瞬に過ぎない。すぐに私が先生と戦わなければならなくなった。 全ては田中(たなか)くんを守るために。田中くんのために私は犠牲になる。 私は決断した。私は死なず、また、田中くんも死なない方法を選んだ。だが、その代わり、折木くんが犠牲になる。 「ごめんね」 私の謝罪と私の手が掴んだシャープペンを見ただけで折木くんは状況を把握した。そして、自らを犠牲にする一言を発した。 「いいよ」 その一言を聞くなり、私はシャープペンを遠くへ思い切り投げた。シャープペンは宙を舞い、見事、先生の顔面にクリーンヒットした。 それで私の気分は上がったが、田中くんのためにはならない。犠牲になるのは折木くんだ。 そのシャープペンには折木くんの名前が流麗な文字で書いてある。 先生が折木くんを睨みつける。その目つきは豹のように鋭く、一切知性を感じさせない。 「折木。バカモンが!教師にシャープペンを投げつけるとは愚かしい!」 怒鳴り声が教室に響く。狙ったことではあったが、やはり、これは最悪だ。耳が壊れる。 クラス一の美少女、桜花(おうか)さんがイラっとした表情をのぞかせた。 三分ほどで先生の怒りは収まった。 そして、宿題をやったかどうかチェックするために、再び、教室を回り出した。 そして、ついに、窓際のの席の一番後ろの席に田中くんがいる。その列に着いた。 頼む。田中くん。宿題をやり終わっていてくれ。大和(やまと)くんが先生に質問し、佐藤(さとう)さんが鉛筆を落とし、ひよりさんが消しゴムを落とし、桜花さんがシャープペンの芯を先生に踏ませ、私が本を読み、折木くんが怒られた意味がなくなる。 私たちはこれ以上、理不尽に怒られる田中くんを見たくない。 先生は田中くんを嫌っている。田中くんにだけ、誤った予定を伝え、田中くんにだけ宿題の訂正を伝えず、集合場所を教えない。明らかに田中くんは理不尽に怒られているのだ。そして、今回もそうだ。田中くんに宿題の訂正を伝えなかった。だから、私は田中くんに正しい宿題の範囲を教えた。私たちがやってきたのは時間稼ぎだ。田中くんが宿題をできるようにするために。 そして田中くんの番が来た。先生は無言でスタンプを押し、悔しそうに教室を出て行った。
みんなの答え
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やった‼
やった! にしても、先生ヒッド! 周りの人、優しい!偉い!スゴイ! それに、クラス1の美少女とかそういう人は、見捨てたり嘲笑いそうだけどしないって!あっ、心がってことかな?