迷宮 ~ヴェパル~
突如私の町、アルデレサに不思議な古代からあるような建物が現れた。占い師が言うには、そこから壮大な魔力を感じるという。しかし魔力を求め、そこへ探索に入った者は、二度と帰ってくることはなかった。 「また探索者が消息不明だ…」 「あぁ、もう毎日毎日気味が悪い。早く誰か攻略してくれないかしら」 私の父と母がそう話しているのが聞こえた。自分は目を輝かせていた。 「おかーさん、おとーさん」 「ジェレカ…!まだ起きてたのか」 「何の話してるの?」 そしてきっと、父と母は私に迷宮に言って欲しくなかったから、迷宮の怖い話をしたのだろう。でも、私には逆効果だった。 __そして今。 『ジェレカ隊長!こちらA隊!迷宮の主と思われる怪物と遭遇!』 「わかった。すぐB隊C隊D隊をそっちに向かわせる。私のほうも片付け終わったら応援に向かう!」 そう仲間と通信を取りながら、私は怪物を斬っていく。怪物を斬っていく度に、何か力が沸いてくるのを感じていた。 「よし…今すぐ応援に向かわないと!」 そしてA隊の居る場所に、思い切り走りながら向かう。途中に見た光景は、恐ろしく残酷なものだった。牢獄のような場所に数えきれないほどの人間が、泣きながら助けを求めている。怪物が人間を食べている…。私は振り向かずに走った。 「はぁ、はぁ…」 私が着いたときには、隊員の四分の二が消息を絶っていた。感情のままに怪物を斬ろうとしたその瞬間…怪物は言った。 「やっと見つけた…お前こそ、王の器だ」 と。私は一体何のことかと思ったが、刀を振っていた。手応えはなく、怪物は消えていた。その代わり、私の刀に魔法陣が刻まれていることも気づかずに…。 それから瞬きしない数瞬に、神々しい光が迷宮を駆け巡った。目を開けるとそこは、アルデレサだった。自分が無意識に抱えていたのはあらゆる宝石や金貨、そして、銀色の地図だった。地図の端には英語でヴェパルと書かれていた。でも、その地図は完全に白紙で、よくわからなかった。 「攻略者だ!宝石や金貨を持ってるぞ」 「奪え!」 「と、盗賊?!ま、まずい…。せっかく手に入れたのに…!」 すると、刀の魔法陣が光った。 「何…?」 そして、私がその魔法陣に触れると… 『我は愛と情念の精霊ヴェパル。我の器を汚すものはこうしてやる!』 大きな精霊が現れて、その精霊が手を広げて盗賊に向けると盗賊が燃えた。 『あぁ、我が器よ。我はヴェパル。お前に宿る精霊だ。試しにヴェイルフルと言ってみろ』 「ヴ…ヴェイルフル!」 そう言うと、指先に明かりが灯った。 『我が器、名は何だ?』 「…ジェレカだけど…」 『では、ジェレカ。我を使いこなせ。お前は全ての迷宮の王となれ。それならきっとお前の夢は叶う…』 そう言って、ヴェパルは魔法陣に入っていった。 「夢…」 ヴェパルは愛と情念の精霊。ジェレカの心に精霊は夢を宿した。いずれジェレカは迷宮ではなく、もっと大きな王になることを知らずに。 「他にも迷宮はあるんだ…!もうあんな悲劇は繰り返させない。よし、じゃあもう一度仲間を集めて探索に行こう」 ジェレカの迷宮探索は無意味ではなかった。全ての人々を救った。 __でもそれは、まだ先の話…_