重たいドアと(見てね!)
重いドアと あき 『ゴーン ゴーン』この街の広場にある時計台の鐘の音だ。この鐘の音がなると、サラリーマンやOLがあっちこっちの店に入り、どこも長い列ができる。 その中でも繁盛している店「純喫茶 薔薇(ばら)」俺は一度あの店に行った事がある。だが、昔の事を思い出し 行けなくなった。 初めて行ったのは3年前だった。あの時は入社して1カ月しか経っていなかった。「いらっしゃい」優しい声が 聞こえた。80歳くらいだろうか。幼い時に亡くなった母親に見た目も声も似ていた。生きていたら母親もこれくらいの歳だったのか。 「どうも」俺は小声で言った。そして、端の席に座った。「何にする?」ハンバーグの匂いがした。その匂いに つられて、「ハンバーグ定食で」そう言うと、「はいよ」微笑んで言った。「ハンバーグ定食ですよ」焼きたてだ。 猫舌の俺は、少し冷めるまで新聞を読むことにした。5分ほど経ちある程度冷めたので半分に切ると肉汁が溢れた。 あまりにも美味しそうで、「ふふっ」と笑みがこぼれた。すると「うちの息子とよく似てるよ」と言うと店の おばあちゃんの頬に涙が一粒流れた。「この歳になると涙もろくなっちゃうね」と言いカウンターの席に座った。 ハンバーグはとても美味しくあっという間に食べてしまった。500円を払うと「ありがとう」と言った声が母親に 似ていた。心がキュッと締めつけられた。「じゃ、じゃあ、また、来ます…」そう言ったがあの後一度も行って いない。 ー1ヶ月後ー 久しぶりに行ってみようと思い店の前に行くと、あの重いドアにある張り紙があった 「今までありがとうございました。2020年10月15日に閉店しました。」と書いてあった。10月15日…俺の誕生日 だった。そして張り紙の一番下には「田中 晴子」と書いてあった。母親の名前だった。「亡くなったはずじゃ…」 涙がポロポロとこぼれ落ちた。ありがとう。 ~登場人物~ 主人公…田中 春太(名前なし) 店のおばあちゃん…田中 春子 【作者から】 どうでしょう!結構自信ありです! 感想お願いします!