“願い”が1つ“叶う”としたら、君はそれを頼りますか?
「私は…テストで上の点数を取りたい!」 …私?私の名前は、 結芽利 來奈(ゆめり らいな)。 成績ダメダメの中学一年生。 勉強なんてしない。 それは当然、めんどくさいから。 けれど私、何故かテストは 高得点を取りたがるの。 何でかなぁ、ちやほやされたいのかなぁ そんなとき、 絵本の世界に出てくるような スタイル抜群の魔法使いみたいな 『カナエ』っていう女の子が現れたの。 そして、今に至ってる。 「本当にその願いでいいの?」 「もちろん!」 「たった一回だけのチャンスだけど 本当に大丈夫?」 「大丈夫!他に叶えたい願いなんて なーんにもないし!」 そしてその願いを叶えた瞬間、 代償として私の何かを失うみたい。 失うものは、その願いと同等の物。 一体何を失ってしまうんだろう。 まあ、そんなことは気にしない! …この思考が、後に私を苦しめた… 「來奈!ゲームばっかして… テストの勉強はしたの!?」 「したしたー!大丈夫大丈夫!」 もう願いは叶ってるんだから 百点は確実に決まってる。 だから私は、テスト前でも 好きなことをやり続けた。 「…あれ!?ノートが無い!! どこ!?どこ!?嘘…教科書も無い…!」 「結芽利!早く席に着きなさい! 皆待ってますよ!」 「あの…ノートと教科書が無くて…」 私の学校では、忘れ物をすると 成績が下がる仕組みになっている。 テストで百点を取れたとしても、 それで成績が下がってしまうのなら これじゃあ本末転倒だよ…。 …この次の授業、次の授業でも ノートと教科書が無かった。 もしかして、私の失ったものは テスト以外の成績…? 「今日はテストを返しまーす!」 楽しみだなぁ、きっと百点なんだろう。 勘で答えたとこもあるけど そこは願いで何とかなる!! …と、思ってた。 「48点…………?」 確かに、前回よりも十点は上がってる。 けれど…なんで…? 他のテストも、 少し点数が上がっただけだった。 「ねえカナエ!!どうして 願いを叶えてくれなかったの!? おかげでノートも教科書も無くなって…」 「努力しなかったからよ」 努力…? 願いを叶えたのに、 努力なんて必要だったの…? 「はぁ、そもそも願いで そんなこと出来るほど、 ここは楽な世界じゃないっての。 人間たちはいつもそう。 願いばかりに頼って、努力をしない。 当然努力しない人に百点なんて 取れるはずないわよ。」 …カナエの言っていたことが 私の記憶にスパンと突き刺さった。 「だからあの時言ったでしょう “本当にその願いでいいのか”って。」 「………っ!!」 これで気づいた。 私は……私の心は…… …とても青く、未熟だった。 「これで分かったでしょう、 あなたの未熟さが。 私の仕事は、そんな人間を 更正させるために歩いてるの。 けど私は優しいから、 そのあとにちゃんと 願いを叶えてあげてる。」 ……甘かった。とても甘かった。 願いでなんでも出来るわけなんてない。 願いが叶ったからって 努力を惜しんではいけない。 私はこの出来事を通じて 努力の大切さ、自分の未熟さ、 自分の甘さを知ったのだった。 「さあ、本当の願いを言ってごらん。」 「…………私は」 もう、願いばかりに 頼ったりなんかしない。 私は心に誓った。