紅色に染る君
坂日 大我として生まれてもう17年以上が過ぎようとしている。 まぁ、この17年という短い間に、彼女である清原 紅音と出会った。 ふと思う。将来大人になって、歳を重ねたら、17年で誰か新しい人と出会うだろうか、と。 考えたところで自分はまだ17歳。自分の力で将来やこの世を変えられる歳ではない自分は、今日も紅音を家に招く。 紅音と付き合おうと思った1番の理由は、癒しを自分が求めているからだ。 親は共働き、兄は留学中。その間自分はずっと孤独に暮らし、常に論理的思考で生きてきた。 楠野ヶ丘高校に入学して半年がたった頃、委員会が同じ紅音に恋をした。 ただぼけーっとしてる君は、どんな家庭で育ったのかと不安になったが、出会ってから少し経ち、彼女の生き方を尊敬した。 何も考えずにただフラフラと、人生と言う道を歩いている君と、常に地図を見ながら道筋を辿って歩く自分は、まるで真反対のようだ。 その3ヶ月後に付き合って、今はこうして暮らしている。付き合う、といった軽い言葉では表せない程、この関係は重い気がしている。 「ねーねー大我ぁ」 「ん」 「あのさ、この前映画見たのね、あれ、、この話したっけ?覚えてないやぁ」 「君の話ぐらい、いつだって何回だって聞くよ」 「ほんと!あのねぇ、このシーンの中にある……」 彼女はご機嫌に映画のチケットが写った写真を見せてくれた。 「面白そうだな」 「今度さぁ!大我と一緒に行く!」 言葉が詰まった。 「えっと、、その、、」 「行こーよぉ、、うぅぅ」 「紅音、泣かないで。やっぱり行くよ。一緒に行こうな。」 この頃、紅音が涙脆くなった気がする。 でも、彼女に尽くしている時間はほっとする。背が自分より20cmほど小さく、華奢な体を抱きしめる。 「大我ってさ、最近さ、よく甘えるよねぇ」 「そうか?」 「うん。昨日もずっとぎゅってしてたじゃん。なんかあったの?」 思えばそうだ。人肌が恋しくなる自分は、よく紅音を抱きしめている。 「そうかもなぁ。あ、飲み物取ってくるよ。」 飲み物を取って部屋に戻ると、驚くような光景があった。 紅音がベットに横たわり、1人で涙を流していたからだ。 「どーしたん」 「あたしさぁ、ずっとぼーっとしてるし、ぶりっ子みたいな喋り方するから、みんな嫌っちゃうの…大我まで嫌っちゃったらどうしよう…」 「だいじょーぶだって」 「大我好きな人いるのっ?」 紅音は聞く。 「俺は好きな人はいないよ」 「やっぱりぃぃ」 「愛してる人ならそこにおるけど」 この17年で、紅音とは一番重要な関係だ、ともう一度感じる。そして何よりも、紅音は真反対の人生を歩んでいる訳ではなく、自分と少しだけ違う人生を歩んでいることを知った。 紅音も1人で孤独に生きてきて、ずっと寂しかったそうだ。自分は寂しいと感じたことはないけれど、今こうして生きて、紅音と一緒に帰り、途中で反対方向の帰り道に1歩踏み入れる夕暮れには、少しだけ心残りがある。 紅色の太陽が、僕達を照らした。 この話はフィクションです。