叶わぬ恋
私は優のことが好きだ。 名前のとおりに優しくて、器用で、頭がよくて、面白くて、カッコよくて… 「おはよう、小春」 優が手を振ってこちらに寄ってくる。 まぶしいくらいの笑顔が私の心臓をとくんと貫いた。 ああ、好き、好きよ。だぁい好き。 けれど。心の中でいくらそう呟いたって、この思いは届かない。 「今日は暑いなぁ」 ふっと、私の横を通り過ぎる優。 「そうね。アイスが恋しいわ…」 「じゃあ奢ってやるよ。放課後、あけといて」 後ろから聞こえる楽しげな会話に耳を澄ましながら、私は胸の痛みに気付かないふりをした。 私には、優の隣にいられる資格はない。 その資格を持っているのはこの世にたった一人。彼女の、小春ちゃんだけ。 優と気まずい雰囲気になったのは一ヶ月くらい前。ふんわりとした空気が漂う春の放課後、私は優に想いを告げた。 「ごめん」 そう言って優は私を振った。私は優に振られた。 泣いた。辛かった。悲しかった。 優の態度や行動から、小春ちゃんが好きであろうことは何となく分かっていた。けれど、やっぱり悲しくて悲しくて。ベッドの隅で静かに涙を流した。 翌日、目を赤く腫らして登校した私を見るなり、優はいちど目を丸くしたあと気まずそうに目を逸らした。 気遣いなのかは知らないけど、それから優は私を避け続けている。 私はふつうに話したいのに。今までどおり、友達としてでもいいから楽しく話したいのに。 避けられることによって、むしろ私の恋心はどんどんどんどん膨らんでいった。 いつの間にか小春ちゃんと付き合っていたのを見て、さらに好きになった。 彼女に対してはあんなふうに笑うんだとか、登下校中はさりげなく車道側を歩く所とか、見ていたらキリがないほど。 ああ、素敵だなぁって。 夏になりかけの太陽が、私を、優を、小春ちゃんを、ぎらぎらと照りつける。 その暑さにどうしようもなく胸が焦がれた。 敵わない。敵うはずがない。 だって、相手は小春ちゃんなのよ。学年一の美女と言われる、あの。 「好きだよ、小春」 私は登校中なのも周りに人がいるのも忘れて、生ぬるい涙を流した。
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
一瞬
一瞬自分が小春ちゃんかと思った~!物語の急展開、面白いです。
泣ける一
めっちゃなけます!! 1見長そうにみえるのに、1分で読めちゃぅ~ しおりさん.マジ神~