短編小説みんなの答え:0

お父さん

靜枝です。久しぶりに来たら短編小説というのがあったので、書いてみました。 是非、見て下さい。 「明梨!危ない!」 野太い声が聞こえた途端、目の前が真っ暗になった。 ・・・・ここは、どこ? 「明梨!目を覚ましたんだ!良かった・・・・」 「お母さん・・・?どうしたの?それに・・ここは?」 白いカーテン、白い壁、床、私が寝ているベッド。 「病院よ。明梨、あなたは車に跳ねられたの。」 車に・・・? 「明梨だけでも助かって良かった・・。」 私だけでも・・・? ・・・思い出した。 あの時、私は一人じゃなかった。もう一人居たんだ。お父さんが・・。 「お父さんは?お父さんは?」 お母さんは首を横に振る。 ・・・そんな。嘘だって言ってよ。 涙が出た顔を拭こうとした。 あれ?腕が重い。 ふと見ると、ガッチリとギプスで固定された右腕があった。 「明梨は右腕の骨を折っただけで済んだの。」 お父さんが、庇ってくれたんだ・・。 「私のせいだ・・。全部、全部、何もかも、私のせい!」 悲しみを吐き出すように私は言った。 「明梨のせいじゃないのよ。明梨のせいじゃないの。明梨のせいじゃない、明梨のせいじゃない・・・」 お母さんまで庇わなくていいんだよ・・・。 泣き声しかない時間が続いた。 お母さんが口を開いた。 「・・明梨。明日には、退院できるそうよ。そして明後日、お父さんの葬式をするから。」 「・・・・・分かった。」 「お父さん、お父さん・・・。」 どんだけ呼び掛けても返事はしない。 「明梨・・。」 「ごめんね。ごめんね。私のせいだよ。本当に、ごめんね・・・。」 「明梨、もう無理なのよ・・。」 お母さんが泣きながら言う。 「分かってるよ。分かってるけど、でも・・・。」 葬式が終わった。長かった。 「・・・・お父さんへ。私は、元気にしてます。あの時は、本当にありがとうございました。そして、ごめんなさい。未だに、あなたに対する罪悪感は消えません。しかし、そのままでは何も始まりません。だから、私はこう思うようにしたんです。あれは、これから頑張るためのバネなんだと。・・・実は何となく、あなたが見守ってる気がしたんです。けれど、もう私は大丈夫ですよ。愛する家族も増えましたしね。今度は、私が見守らないといけない番ですね。頑張ります。明梨より。」 手紙を読み終えた私は、お墓に向けて手を合わせた。 本当に、ありがとう。お父さん。

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