蓮の花の本
『蓮の花を知っていますか? そう、あの水上に咲く桃色の花のことです』 私は行きつけの本屋で‘蓮の花の本’と書かれた表紙の本を読んでいた。 綺麗な表紙で、思わず開いてしまったのだ。 『国内各地に蓮の花の名所はありますが、この本では貴方を、この世ならざる場所での名所を教えて差し上げます。』 この世ならざる? 冗談にしてはなんだか悪寒がするが、 気にしないでおこう。 ぺらり。 ページをめくる。 『それは…彼岸、つまり死者たちの世界にあるのです。 今日は貴方…蓮本明里さんに、その絶景を楽しんでもらいましょう。』 え? なんで私の名前を知っているの…?? 慌てて閉じようとしたが、閉じることが出来ない。 「うそっ…!?」 ぺらり。 『ふふふ。では、そろそろ参りましょうか?』 ウソウソウソ? 私、どうなるの…? そう思いながらも、私はページをめくる手を止められず、ついにおどろおどろしい呪符の貼られているページを開いてしまった。 その瞬間、私の意識は遠くなっていった。 気がつくと、私は明るい空の下、蓮の花が咲き誇る綺麗に澄んだ池の上で、木の小舟に乗っていた。 向こうの方には神社にある赤鳥居が見える。 そして、よく見ると池の中で赤や金や黒など色とりどりの鯉たちが泳いでいる。 蓮の花は恐ろしいほど美しく、目を奪われてしまうほどだった。 すると、私の手元にあった本のページが風でめくられた。 『どうです?綺麗でしょう? 永遠にそこで景色を楽しめますよ。 この本はその、蓮の花の池への片道切符の様なもの。帰りはありません』 その、筆で書かれた様な字を見た瞬間、私は背筋が凍りついた。 「もう…出られないの…?」 もしかすると戻る方法があるかもしれないとページをめくろうとしたが、本はスゥッと消えていってしまった。 そして、彼岸に連れて行かれた少女、蓮本明里の姿は此岸から消えた。 捜索が行われたが、探し続けても見つからない為、やがて打ち切りとなった。 一方、地元の人々の間では、その本を開いた者は蓮の花の咲き誇る彼岸の何処かに連れて行かれてしまうという、 『蓮の花の本』 という、一時期忘れられていた噂が再び 話題になっていたという。 蓮の花の本…もしかすると貴方の家の物置部屋や本棚の奥、あるいは古い机の下にでも、落ちているかもしれません。 しかし、決して拾って読んではいけません… あなたも彼岸の、蓮の花の池に連れて行かれてしまいますよ。 逃げる方法? 残念ながらありません。 …ごめんなさい、少し妖しい話をしてしまいましたね。 しかし、本当に気を付けてくださいよ? あぁ、もう時間の様です。 それでは、失礼。 完 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー こんにちは、作者のあおねこです♪ 感想頂けると嬉しいです! では!
みんなの答え
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センスあるぅッ!!!
ミステリアスなところが良かったです。あおねこさん、すごいねっ!ちなみにわたしの本名に、「蓮」という字が使われていますっ!
センスあるぅぅぅ!
すごいすごいすごい!もういいきれないくらいすごい!もうしょうらい小説家になっちゃいなよ!ミステリアスすぎて少し怖かったけど…!
わーすごーいっ!!
物語の世界にいるみたいで楽しかった!! 蓮の花の本... こわっ!! もしかしたらほんとにあるかもね! ゾクゾクゾクソグ....!! あおねこさん、小説書くセンス凄いあるね!! もっと書いて書いて!!(笑)
いいですね!
幻想的な風景の描写が、本当に上手いです!神社の鳥居の、美しさというか妖しさが気にいりました! 古書店なんかに置いていそうな雰囲気に感じました...。
あおねこさんー!!
その景色見てみたい気もするけど…!お花好きだし! 本棚見たくない…物置部屋も… 気をつけよう! また楽しみに待ってるねー!!!