カッコイイをくれたのは
小さい頃は、大人になればなんだってできると思ってた。 自分の描いた絵で色んな人を感動させるんだって決めてからずっと、未来は輝いていた。 俺の中で大人は、強くてかっこいいものだった。 でも、いつからだろうか。 諦めることをおぼえて、夢は夢でしかないと悟った。 ずっと夢を追いかけていると周りは笑い、現実をみろってバカにする。 昔憧れた輝く未来は、いつまで経っても来なかった。 そんな思いを抱えながら過ごす毎日。 そんなある日、ふと本屋の小説コーナーに立ち寄った。 普段からあまり本は読まないので作家はほとんど知らない。1つの名前に目が止まる。 __「篠本 隆也(シノモト リュウヤ)」 他の本よりも一際目立つように置かれている。今話題なのだろうか。 名前を聞いたことがある。テレビは見ないのでテレビではなかったはずだ。誰だろう、と思ったが、すぐに思い出す。 小さい頃隣の家に住んでいた人だ。 当時は りゅう兄ちゃん と呼んでいた。 りゅう兄ちゃんは、俺がが大人をカッコイイって思うきっかけとなった人だ。小説家を目指していた。なかなか売れなかったが、絶対に諦めなかった。そんな姿に憧れて俺も毎日絵を描き始めたんだった。 あれから結局俺の親の都合で引っ越すことになってりゅう兄ちゃんとはそれきりだったが、こんなに売れているなんて。 その日に俺はりゅう兄ちゃんの本を買い、家に帰ってすぐ読んだ。 面白かった。 本のことはあまり分からないし、読むのもあまり得意ではないが、文章がイキイキして見えた。 そこで俺は気付かされた。いつの間にか、「絵を描くこと」に対しての楽しさが無くなっていると。 「描かないと」という思いから、楽しむことを忘れていたのだ。 次の日俺は、昔毎日のように絵を描きに行っていた公園へ足を運んだ。 するとそこには、1人の女の子が絵を描いていた。 俺も少し離れたところで絵を描いていると、その少女が俺に話しかけてきた。 「あの、昔いつもここで絵を描いてた人ですか…?」 「え?あぁ、そうだよ」 「やっぱり!いつも見てました!ずっと声をかけようと思ってたんですけど出来なくて。そのうちに来なくなっちゃって」 「そうだったんだ、ごめんね」 「いえいえ!私、お兄さんが来なくなってからずっとここで絵を描いてるんです。画家をめざしてます」 「え?ほんとに?」 「はい! お兄さんみたいに、カッコイイ人になりたくて!」 きっと、どこかで見てくれてる人はいるんだね。
みんなの答え
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いいですね!
文章が、詩的ですごくよかったです!自分も、小さいときは大人は何でもできると思っていました...。 主人公が、夢を取り戻せてよかったです!
素敵!!
コミさんのセンスが素晴らしいです!!凄く物語に引き込まれました!