『告白LINE』
(やばい、どうしよう) こんなに、スマホと真剣に向き合うことがあるのだろうか。 どこにでもいる普通の女子高校生、増井菜緒は自分の手におさめられているスマホを見ながら、そう思った。 菜緒には、好きな先輩、天野先輩がいる。 天野先輩は、今年の春に卒業してしまった。 菜緒は想いを伝えたかった。 なのに、コロナウイルスという、恐ろしいウイルスによって、菜緒は想いを伝えらなかった。 何としてでも、想いを伝えたい。 親友に協力をしてもらって、菜緒は天野先輩のLINEをゲットすることができた。 休校期間中、菜緒はほぼ毎日やりとりを交わした。 前よりも、距離はずいぶん縮まったと思う。 そして、告白することを決意したと言う訳なのだがー。 (勇気が、出ない…) 文面も考えている。イメージも出来ている。 準備は万全。 だが、どうしても送信ボタンを押す勇気が出ない。 (でも…) 絶対に後悔する。 心の中の自分がそう言った。 「よし…」 頑張ろう、とつぶやいてから、奈緒は送信ボタンを押した。 <天野先輩> 『先輩、ちょっといいですか?』 『大丈夫だよ』 『先輩は、ズルいです!』 『え…?』 『俺、何かしちゃったっけ?』 (違いますよ…) クスリ、と笑ってから、菜緒はキーボードをタップする。 『先輩は、優しすぎます!』 『出会ったのは、丁度この頃でしたね』 『教室への道が分からなくて困っていた私に、先輩は声をかけてくれましたね』 『かっこよかったです。一瞬で恋に落ちました』 『初恋だったから、アピールするとかよく分かんなくて、めっちゃ検索したり、本を買ったりしました』 『頑張ってたのに、気づかなかったらしいじゃないですか…』 『鈍感すぎます。どういうことですか…』 『でも、そんな先輩も好きです』 そして、一番言いたかったこと。 直接、言えなかった、伝えられなかったこと。 『先輩、好きです』 『先輩じゃなきゃいやなんです』 『先輩の隣にいさせてください』 しばらく経ってから、返事が来た。 『ありがとう』 『めちゃめちゃ嬉しい』 『これからよろしくお願いします』