逃走
「自殺は、逃げ。でしょ?」 そう言った彼女に、彼は無機質な目で返した。 「どうして」 「だって、嫌な事から逃げてるでしょ」 「あ、いやそういうことではなくて。 君はどうして、この世よりも死後の世界が楽だと思っているんだい」 「え……だって無くなる。 全て。良いことも悪いことも、嬉しいことも悲しいことも。 そのはずだったでしょ」 「なるほど。で、どうするんだい。」 「…何が?」 「死後に世界があるかもしれないよ。 想像もできないような、惨い世界が。」 「………私には、関係ない。」 「…ははっ、流石だね」 「ふざけないで」 「僕はずっと真面目だよ。 あのさ、君はなんでここに来るの?」 「……いやだった? ………私は、嫌だった」 「もう遅いけどね。」 「そうだよ、だから、だからもう! ……絶望するしかないでしょ…」 「君が悪い」 「分かってる!!分かってる!! ……………………あっ、待ってよ!行かないでよ…行かないでええ!」 「しがみつくなよ。 触れないのに。 僕にはどうすることもできない。 君は運悪く判断を間違えてしまったんだ」 彼が捨てた缶コーヒーの音が、だんだんと薄れた。 「っ…………… ははっ、死んでたら、涙も出ないんだね。」 「知らないよ。僕は生きてるんだ。 死者と話せるのは死んでから5分だけ。 君が飛び降りるところを、僕は目撃してしまったから。 今までで1番長く話したかもしれない。 それじゃあね、一人ぼっちを楽しんで」 「っふふふ……………わかったよ、さよなら」
みんなの答え
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なるほど!
頭いいですね! 書き方がすごい上手で、語彙力がありますね! 年下から失礼しました。
あ、好きです。
あ、好きです。なんかこの短い文章で世界観を表現するなんてスゴイッスね!小説売ってたら買ってましたわ。
良いですね!!!!
最初は「これ、どういうことだろ」って思ってたんですけど、最後に答えがわかって、小説の世界に吸い込まれそうになりましたε=ε=(ノ≧∇≦)ノ 小説書くの上手ですね! 今度はまた別のテーマで作って欲しいです!