思い。 ~アイツ~
思い。 私は渡辺玲。小学6年生。足を骨折している。…で松葉杖。 今は廊下を歩いている。 タンタンタン…カツーンカツーン… リズミカルな音が聞こえる。それに混じって… ターン…スッターン…スッ 不細工なメトロノームの音。 そしてそれに加えて小さな笑い声とささやき声。 誰も喋りかけてこない。喋りかけられたくない。 やっと椅子だ。 「おはよ。玲。」 声をかけられた。中島健斗だったっけ…。 「…。」 「なんだよ無視すんなよ。幼なじみだろ?」 「はい。」 「玲。」 「何。」 「一緒にかえろーぜ。」 黄色い歓声が起こる。 「無理。」 「えーなんでー一緒がいいー。」 また黄色い歓声が起こる…。そういえば中島はモテるらしい…。 「あんたといたら目立つ。」 「えー…。」 「今日は一人で帰るから。」 「はーい…。」 中島は去っていく。 ~帰り道…。~ 「…なんでついてくるのよ。」 「お前が好きだからに決まってんじゃん。」 「はっ…?」 「返事はいつでもいーよ。俺でもいーか、よく考えて。」 「…。」 そう言って中島は家の中に消えていった。 これって…? 「玲お帰りー」 凛ねぇだった。えっと…お母さんは…仕事か。 うちはお父さんが交通事故で死んだからお母さんが仕事行って、お姉ちゃん…凛ねぇが家事。私にできることが何もない。 「ん…。」 「晩ご飯今日はカレーねー」 「ん…。」 「どうしたの今日?まっさか…告られた?」 …あたり。 「…!なんでわかるの…!」 「顔真っ赤。」 「………!」 「中島でしょーあいつ、玲のこと好きだっつってたもん。あいつとうとう告ったかー」 「どうすればいいのかわかんない。」 「そうねぇ…あいつのいいとこ探しとかは?あいつのこと、気にいるよ。」 「ふーん…。」 ~次の日~ 「おはよう、中島。」 「はよ!じゃ、俺、急ぐわ。じゃ!」 中島は走って行った。一つ目、かな?‘走る速さが早い’ …そういえばあいつ…私のこといろいろ手伝ってくれたよんな…。 私に出来ること…。まずは第一歩、だよね。決断は早いほうがいいよね。 あいつは?嫌いじゃない。他のやつと違って。じゃぁ好きなんじゃない? 「中島ーっ」 「玲ーっ何ー?」 「好きーつきあってもいーよ!」 「ありがとーっ よろしくーっ!」 自分で言ったもののやっぱり顔が真っ赤になった。 「よろしく。中島。」 私はこそっと呟いた。 俺は中島健斗。 今は放課後。 「あ、あのっすみません…。」 名前も知らない小さな女の子。 「えっと…だれだっけ…?」 「柏原悠です。好きです!」 「えっと…ありがと。でも…ごめん。好きな人いるから…」 ごめんって言ったらすぐにどっかに行っちゃった。悪いことしたなぁ…。 「おい、健斗!さっき告られてたー?」 「あぁ…まぁね…。」 「いーなー振ったの?じゃさ、俺にちょーだいよー彼女ほしいー」 「お前は一生できねーよ」 「えーなんでだよー」 彼は鳩咲梨紅。さっきはあー言ったけど、あいつも結構かっこいい。ま、勉強は無理らしーけど…。 「じゃーさ、健斗はやっぱり、あいつ?」 「うん。」 「告れよーねぇー」 んー。今は5年だからなー…。 「ろ、6年で告るわっ!じゃぁなっ!」 「じゃぁな~」 梨紅はニヤニヤしながら答える。 ターン…スッ ターン…スッ 玲の足の音。俺はすかさず声をかける。 「玲!じゃぁな!」 それに答えるのは決まってこの声。 「ん。」 まだ俺には真顔だけど、絶対その真顔の仮面、外してやるっ!