短編小説みんなの答え:1

てのひら

きっと僕は、彼女の見つめたものを、永遠に知ることはないのだろう。 学校からの帰り道。春の甘い香りを感じて、うつむきながら歩くいつもの道に、何かの気配を感じて、ーいや予感と言うべきかー、横をふっと見てみた。細くて塀に囲まれた薄暗い小道があった。これといった用もないので好奇心に任せて入っていった。適当に歩くかとコツコツと足音を鳴らして、塀の内側にある木々の影を踏みながら進んでいくと、開けた場所に出た。次の瞬間、僕は目に映った光景に目を奪われた。 広場の中央には枝垂れ桜の大木があった。樹齢千年にもなりそうな大木は、幹をくねらせながら伸びて、美しく桃色の花を咲かせている。しかし、僕が目を奪われたのはそれだけじゃない。そこには、大木に身をあずけてたたずむ可憐な少女がいたのだ。どこかを見つめる瞳はどんな海よりも透きっていて、肌は絹のように白く、木漏れ日と花びらの降りる黒髪は風に流れて揺れて、儚げな雰囲気に包まれている。あまりの美しさに言葉を失い、突っ立っている僕に気づいたのか、少女はゆっくりとほほえんで、歩んできた。僕の前まで来ると、ニコッと笑い、両手のひらを前に出した。そこには、一枚の桜の花びらがのっていた。 その日から僕の不思議な日々が始まった。僕は、彼女のいる広場に日参した。そこで彼女も、毎日僕を待っていた。僕は、彼女にたくさんの質問をしたが、答えは返ってこなかった。彼女は喋らなかったのだ。ただ、少しほほえむだけだった。だから、僕は彼女の好きな食べ物も、嫌いな人も、歳も、名前さえ知らない。でも、それでもよかった。 いつしか僕も彼女に喋らなくなった。二人で心で感じた。時々互いに笑って。帰る間際になると、いつも彼女はそっとてのひらを出す。それを僕は受け取った。それは、ビー玉だったり、可愛い布だったり、ミニカーだったりした。 そんな毎日が続いた。 もう一度桜がつぼみをつけ始めた頃、僕はいつものように胸を高鳴らせながら向かった。小道を抜けると、彼女が目の前に立っていた。いつも桜の木に寄り掛かっているので、驚いた。しかし、よく見ると、それだけじゃなかった。彼女は涙を流していたのだ。 あまりの衝撃に目を見開いていると、彼女がてのひらを見せた。そこには何もなかった。突然のことに気持ちの整理がつかない僕は、口をパクパクしていたと思う。すると、彼女は初めて歯を見せて笑顔になった。そして顔を近づけてきた。 「すき。」 柔らかい音を耳に感じた。その意味を理解してハッと我に返ったときには。 彼女は跡形もなく消えていた。そばには桜の花びらが舞っていた。 十年後、僕はもう一度この場に来ている。今では子供の楽しげな声が響く賑やかな公園となった広場に。 中央には枝垂れ桜の木を使ったベンチが一つ置いてある。僕はそこにゆっくりと寄り掛かった。彼女の見ていた方向に僕も目を向ける。そこには入道雲が浮かんでいた。思わず緩んでしまった口元を元に戻した。そして、てのひらをベンチにつけて言った。 「僕もだよ。」 男子目線で書きました!!全然まとまってないですね笑。感想聞かせてください!私が喜びます。(*´ω`*)笑

みんなの答え

辛口の答え

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初耳

hello こんな小説初めて聞きました 今度読んでみたいです


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