青い
「私、1ヶ月後に東京に転校するんだよね」海夜(みや)がそう言った。小1からずっと、クラスが離れても、喧嘩してもすぐ仲直りして、ずっと仲が良くて、一緒にいて、離れるなんて考えた事が無かった。だから辛くて、ちょっとギクシャクして、何も出来なかった。やっと3日前になって「昔行ったあの山に行こう」と誘えた。声が震えていたけど、気付かれたかな。 山で待ち合わせした。リュックは昔行った時も背負っていたお揃いのもので、今では「リュックが歩いてるみたい」と海夜に馬鹿にされないくらい身長が近くなった。中には水筒と手紙とタオル、それからお菓子が詰まっている。今日は快晴で、歩くと汗ばむ。「懐かしいね」と言いながら、昔枝で作った『ミヤとリンのいえ』というとても小さな小屋を目指す。 「あっ、これじゃん!」「ああ、あった!やっぱボロボロだねー」『ミヤとリンのいえ』という看板もどこかへ消えていた。「これは修復だねぇ」沢山の枝を括りつけ、看板を新しく作った。丁度辺りに木が多く、葉で少し日光が遮られて、想像よりは暑くなかった。終わった後、中に入って、リュックからお菓子を出した。「狭いねー」「昔はもっと広かったのにね」2人で笑った。昔の事を思い出して、気を抜くと涙が出そうになる。「はい、りんの好きなやつ」駄菓子を差し出された。「あぁ、ありがとう」また声が震える。「…また絶対一緒に来よう!」と海夜が小指を向けた。私も頷いて小指を出すと、海夜はニコッと笑って勢いよく指を結んだ。 小屋の入口をくぐって上を見上げると、まだ空は青いままだった。「涼む為に川行こ!」と海夜に手を引かれた。大きな岩にそれぞれ座り、透明のキラキラの水に足を入れた。空が少しオレンジ色がかってきて、それをまた水が反射して、凄く綺麗だった。綺麗だから余計泣きそうになる。なのに海夜は笑顔で足を揺らしていた。「悲しく…ないの…?」と聞くと海夜は少し驚いた顔をした。「…凄く悲しいよ。でも、最後なんだから笑っていたい」「また一緒に来るって約束したじゃん」と私が笑うと、「そうだった」と海夜もまた笑顔になる。「あ、手紙を渡すね」と海夜が可愛い水色の封筒を差し出した。「私も」とお互い手紙を交換する。 待ち合わせた場所で別れることになった。涙が今にも零れそうだった。海夜も大分堪えているようだった。「泣きそうになりながら別れるより、泣いた後にちゃんと笑って別れたくない?」と私が提案すると、少しして、「うん」と小さな声が聞こえた。2人で涙を流す。泣き始めると止まらなくて、2人で声をあげて泣いた。声が枯れるまで泣いて、疲れて、もう空が濃い青になって、やっと笑えて、精一杯手を振った。「またね」 帰ってから封筒を開けた。海夜らしい大人っぽい字が便箋にぎっしり並んでいた。 『りんへ 今まで本当にありがとう。りんと会えて良かった!めっちゃ笑った思い出、喧嘩の思い出、泣いた思い出、今思うとばかだったと思える思い出。引越し先でも思い出して笑うね。 それと1つ言いたい事があります。言わないつもりだったけど、嘘と隠し事は今までして来なかったから、最後になって申し訳ないけど言うね。私は少し前、病気が見つかって、今はまだ元気だけど、これから大きい病院に入院するから引越しました。病気に勝ったらすぐりんに会いに行くから待ってて欲しい!もし知らぬ間に消えていたらごめんね。でも頑張るから大丈夫!急にこの手紙で伝えて本当にごめんなさい。心配はしないでね。 また山で絶対遊ぼう。東京はほんとにビルが高くて、可愛い店も沢山あるから2人でショッピングも行こうね! 海夜より』 大量の涙が頬を伝って、ぽたぽたと封筒を青くした。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 読んで頂きありがとうございました! 題名の「青い」は、夏の空の色というのと、海夜→夜の海→青というのと、山での思い出が「青」春だなっていうのと、ラストかブルーな感じというのと、水色の封筒が濡れて青になった、という意味などがあります。 感想とか、ここおかしくない?という指摘も有難いので、回答お待ちしてます!
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
いい話だ~!
本当にいい話ですね!タイトルもいい…海夜ちゃん病気で引っ越したんですね…わたしの友達にもみやちゃんっていうあだ名の子がいて、性格がそっくりでびっくり!2人ともいい人!悪いところが見つかりません…………表現などが上級者って感じがしました!長文も嫌だと思うのでここで切ります。また書いてくれると嬉しいです!