夏の月
「おはよう!」笑顔で挨拶をするその人の名前は浅野梨沙。そして、僕の名前は飯塚蒼太。僕はいつからか、彼女に恋をしていた。なんていうか、あの人といると楽しいんだ。まだ彼女に想いを伝えてはいない。告白したいとは思うけれどまだ早いかな。いっそのこと2月の修学旅行告白しようかな?そんなことを思いながら彼女を目で追っていた。そんなある日のことだった。 「おはよう!」笑顔で挨拶をして、彼女が席に座る。嬉しいことに、彼女の席は僕の隣だ。いつものように、たわいのない会話をする。「昨日のテレビ面白かったね。」「そういえば2組の東野が怪我したらしいよ。」そんな話をしていたら、彼女は急に切り出した。「あのさ...」少し悲しい表情をしながら言った。「私、10月には引っ越すんだ」「え?」驚きのあまり固まってしまった。異変を察知した周りの人たちが集まり、彼女はもう一度言った。「私。10月には引っ越すんだ」「何で?!」「どうして?」「行かないで!」周りの人たちは口々に言うのに、僕は何も言わない。いや、恐怖と驚きで何も言えなくなっていた。今日は8月1日。と言うことは彼女と一緒に居れるのはあと2ヶ月。目の前が真っ暗になった。 「あと2ヶ月...」まだ告白だってしてないのに...授業なんて頭に入らない。家に帰り、ベッドに倒れて、今日起きたことを頭の中で整理する。「あと2ヶ月で、浅野は引っ越す...」考えれば考えるほど、嫌になってくる。現実から逃げたくなる。「でも、想いだけでも伝えたい...」そうだ。もう引っ越してしまったわけじゃない。そうだ!2ヶ月はある!そのうちに告白すればいい。でも..でも..でも.......そんなことを思いながら、目的もなくSNSを見ていた。芸能人が結婚、音楽家が不倫、...心底どうでもいい。「はぁ..」今日何度目かわからないため息をつき、つまらないニュースは無視して、画面を下にスクロールする。”夏祭りで食中毒”...そう言えば、この町でも9月に夏祭りがあったっけ。..............それだ!そうだ!この夏祭りで...!僕は決めた。今、伝えるしかない。この夏祭りが終わってしまったら、もう告白のチャンスはないだろう。今じゃないと、絶対に後悔する。僕はそう心に決めて、夏祭りに向けて準備をした。 ~1ヶ月後~ いよいよ、運命の日がきた。2人きりで夏祭りに行くのは何だか緊張するので、僕と浅野と、僕の友達の藤田と五十嵐で行った。「よっ飯塚」藤田が言う。藤田と五十嵐は先に来ていたようだ。「浅野まだかなぁ」五十嵐が言う。「あっ!来た来た」後ろに振り向くと、着物姿の浅野がこちら歩いてきていた。「じゃ、行こっか。」僕らは4人で歩き出した。すぐ隣で浅野が歩いている。小物姿の浅野なんて初めて見た。可愛い、可愛すぎる。ずっとそんなことを思いながら、金魚すくいや射的を楽しんだ。「ちょっとトイレ行ってくるね。」そう言って、浅野はトイレの方に駆けて行った。「...じゃあここからは2人にしてくれ。」ここまで作戦通りだ。「飯塚頑張れよ」「ありがとう。頑張るよ」そして自分にエールを送る。「大丈夫だ。大丈夫だ。」 「あれ?2人は?」「お腹いっぱいって言ってもう帰っちゃった」「そっか」 さあ、いよいよだ。 「あのさ...」 「どうしたの?」 心拍数が上がり、顔が赤くなる。 大丈夫だ。大丈夫だ。ここまできたら言うんだ。もうチャンスはない。 「好きです。付き合ってください!」 「・・・」 「・・・」 「・・・」 「・・・」 駄目だ。やらかしてしまったかもしれない。 いや、いいんだ。気持ちが伝えられたんだからいいんだ。これ以上は求めなくても..... 「私も...好きでした....」 「えっ」 驚きを隠せなかった。けれど、とっさに言葉が出た。 「ありがとう」 自分でも何でこの言葉が出たのかわからない。けれど、彼女が笑ってくれたから、これで良かったんだろう。 「ずっと一緒にいよう」 もう暗くなった夜の道を、彼女と歩き出す。 その時2人で見た満月は、いつもより綺麗に見えた。
みんなの答え
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キ、キ、キ。
キュンです! 言葉にならないくらいキュンキュンした! 上手すぎ…。語彙力もらって大丈夫ですか((は