山城
「君のせいだ。全部、君のせいだ。さよなら。地獄で、また会おうね」 声が出ない。ただ、見つめている。 「それじゃーな」 山城が、落ちる……! 何も言えない。金縛りにあったかのようだ。 「ぅよっと」 山城は柵を乗り越える。そして、飛び降りた。 「ま、待って!待って…!」 やっと足が動いた。柵から身を乗り出す。 下を見下ろした瞬間、グシャっという嫌な音がした。 ―いやだ、みたくない……。これは、夢だ……。 私は紛れもなくそれをみた。ゆっくりと、赤い染みが広がっていく…… 「嫌だ!」 私は目を覚ました。大丈夫、あれは夢だ……。言い掛かりだ、私のせいなんかじゃない、違う、違う、決して……。 クラスメートの山城が私に告白したのは、中学生最初のゴールデンウィーク明けの初日だった。前置きとしていろいろ話してから、山城は言った。 「だから、だから、俺と付き合ってくれ!」 答えはNoだ。 そのことについて、何度も何度も山城の両親から責められた。 「あなたが受け入れていれば、うちの子は死ななかった…」 「中学生の付き合いなんて、何年も続くものじゃないんだから。OKと言ってもよかっただろう!」 私は……山城が、山城莉子が『性同一障害』だから断ったんじゃない。そんなこと、どうでもいい。彼女が男子でも断っていた。純粋なNoだった。悪いのはクラスメートだ。よってたかって莉子を虐めた、だから莉子は自殺した。だから私のせいじゃないのに、何でみんな私ばかり……。 翌日、山城莉子が自殺したビルの下には、女子中学生の死体があったという。