短編小説みんなの答え:0

憧れ

私、源カコは、私立桜ノ女子学院に通う中学2年生。  部活は、文芸部に所属している。みんなで本を読んだり、文章を書いたりとっても楽しい。 季節は冬。そう、もうすぐ中学2年生になるので、次期部長を決めないといけない。 …というか、現・部長からの指名。 私たちの学年は4人いる。誰になるんだろう…? ついに、その日が来た。 2月も終わりに近づいたある日の部活で、顧問の先生が口を開いた。 「神谷さん、次期部長は…決めたのよね?」 「はい、決めてきました」 神谷先輩は、一つ上の先輩で今の部長。先輩の落ち着いた声に緊張が走る。 「次期部長は…源さんにお願いしたいと思います」 そう言ったあと、先輩がフッと優しい笑みを浮かべた。 「それと…私、このまま高等部には進学しないの。バレエの勉強するために、海外留学する」 「えっ…」 言葉が出なかった。先輩がいなくなるなんて。 その時、やっと気がついた。自分が先輩にこんなにも憧れてたということに。 初めて部室に入った日。怖くて怖くて固まっていた私に、「大丈夫?あ、中2の神谷玲香です。よろしくね」って優しく声をかけてくれた。 いつも笑顔で話しかけてくれて。穏やかで優しいけど、自分の意志もしっかりあって。 そんな姿に憧れてた。ああなりたいって思っても真似できなかった。 そんな先輩がいなくなる? その日の帰り道、先輩を見つけた。 「あの!神谷先輩っ!」 「あ…源さん。文芸部を、よろしくね。源さんなら、きっとやり切れると思う」 「先輩…本当に行っちゃうんですか…?」 一瞬の間があった。 「うん。でもね、源さんだから安心して行けるんだよ。文芸部は大丈夫だと思うから安心できるんだよ」 目の前に貼っていた膜が弾けた。もう、こらえられなかった。 先輩と別れたくない。でも、夢を応援したい。だから… 「先、輩…今までありがとう、ございまし、たぁ…私、絶対、なります。先輩のような部長に…」 「泣きすぎだよ、源さん。また会えるから、ね」 そういう先輩の目にも涙が浮かんでる。 また会える…その時には先輩みたいに強く優しくなっていたい。 そして、季節は春。 文芸部にも新入部員がやってきた。 すみっこで不安げな表情をしている1年生は、2年前の私と同じ。 今度は私の番だ。 「大丈夫?あ、中3の源カコです。よろしくね」

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