紫陽花の咲く季節、君に会いに。
「ごめん…突然、決まっちゃって」 どしゃ降りの雨の日、青い紫陽花が咲く花壇の前で彼女の蓮花が言った。 幼なじみだが付き合い始めて二年になる彼女のさす紫色の傘はかさが大きく、何かの感情を押し殺しながら『お別れ』を伝える蓮花の顔を隠している様だった。 「蓮花…引っ越すなんて」 「うん、ごめんね。検査したらさ、数値が悪くなってて。都会の病院に通わなきゃ治らないんだ。」 そう、蓮花は幼い頃から難病を患っており、高校生になった今でも検査した時の数値が良くなったためしがない。 「私が病気のせいで…。」 「良いんだ、蓮花なら大丈夫。 きっと治るだろ」 「うん…」 蓮花は、泣いている様だった。 「…でも、きっと、この…紫陽花が咲く季節に戻ってこられる様に頑張るね」 「頑張れ。」 僕も、蓮花がいきなり都会へ引っ越すという話を聞いたときはショックだったが、蓮花ならきっと回復できるだろう。 「約束だよ。私は、この町に戻って来る。それが数十年後だとしても」 「当たり前だろ。僕はここで待ってる」 「うん」 僕らが再会の約束をした時も、雨は収まることなく降り続いていた。 「それじゃあ、また、ね!! いつか連絡するから」 「分かってる。」 蓮花は僕の側から離れた。 そして、 「またね」 と残して駆け出す。 あっさりとした別れだった。 僕には、青い紫陽花と僕の前から離れていく蓮花を止めることは出来ない。 蓮花が駆け去った後もしばらくの間僕はどしゃ降りの中、傘をさして佇んでいた。 翌日、蓮花たちの家族は揃ってこの町を離れていったらしい。 そして半年後。 ずっとやりとりをしていなかった蓮花から一通のメールが来た。 『あと少しで手術です。頑張るから、あの季節まで待っていてね』 僕は、『頑張れ』とだけ送った。 それだけを蓮花に伝えたかった。 それから、僕と蓮花はメールのやりとりをしなかった。 翌年の、約束した…紫陽花が咲く季節。 僕はあの時…蓮花と約束をした、青い紫陽花が咲く花壇の前に立っていた。 蓮花は来ない。 当たり前だ。 蓮花は、メール時にいっていた手術に失敗し、あっけなくこの世界からいなくなってしまったのだから。 僕は空を見上げた。 『お別れ』の日とは打って変わって、とても綺麗に晴れている。 蓮花に会うことはもう叶わないかもしれない。 しかし、僕はまたいつか会えると信じていた。 なぜなら、見落としていたが蓮花が手術前に僕に送っていたメールを見つけたからだ。 そのメールには、こう書いてあった。 『紫陽花が咲く季節、君に会いに。』 完 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー こんにちは、あおねこです! この作品について、「青い紫陽花」の花言葉のうち一つとして知られているのが 『辛抱強い愛情』。 それを意識してこの恋愛系短編小説を書いてみました(^^) (他にも青い紫陽花に花言葉はありますが、この作品では上記の意味で使っています。) 感想お待ちしてます、では!
みんなの答え
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え、お洒落すぎん…?
こんにちは!雪見大福です あおねこさんの小説は彼岸とかホラー(?)が多かったので新鮮で面白かったです。本当に私の一個下…? 語彙力が凄まじい…ちょっと語彙力分けて…笑 次回作も楽しみにしてます♪ それでは!