短編小説 君との夢は幻だったのか
友達の歩子(あゆこ)と、私(由希)で出かけていた時のこと。 「ねぇ、君達、僕のこと見える?」 そう、話しかけられた。 同い年くらいの男の子に。 「誰ですか?」 「俺は、幽霊なのだ。」 「何ですか、冗談はやめてください。」 「俺はお前の記憶を少し、操っている」 「歩子、やっぱ変だよ。」 「そうだよね」 「俺は、君、藍乃木由希さんに用事がある」 「え、何ですか…もう…用件を話してください」 「俺の未練をなくして欲しい」 「は?」 「じゃあまたな」 そう言って男の子は消えた。 「幽霊だったのってマジじゃん…」 「そうだね…」 その日私は考えた。あの子の言葉を… 『俺の未練をなくして欲しい』 未練ってなんだろう… 私に関係があるの…? その日私は夢を見た。 あの、男の子と楽しく遊ぶ夢。 どうしても、放ってはおけなくて、遊んだ。 それにしてもどこかで見たような顔… ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「由希!優くんのこと覚えてる? 大変なんですって。 お見舞い行きましょう。」 「優…!優!!!」 その時思った。 私は少し前、優と喧嘩をした。 数日後、優は事故にあったらしい その日から病院でずっと、ずっと、眠っていた なんで忘れたんだろう… 『俺はお前の記憶を少し、操っている』 …もしかして。 記憶を操ったのって優なの? 記憶を操ったら楽しく遊んでくれると思ったの? 私ともう一度、楽しく遊んだら、未練が消えたってこと? わたしは病院に着いた。 優のお母さんからこう言われ、一枚の手紙が渡された。 「あのね、優は、由希ちゃんと喧嘩したこと。 すごく気にしていたらしいの。 由希ちゃんと仲直りしたいな、っていう 独り言が聞こえたり。 でも、自分から直接謝るのは照れる…って。 それで、次の日、事故にあった… でも、少しだけ、意識が戻った日があったの… で、優、手紙を書いたの。 これ…」 「由希へ 由希、怒らせちゃってごめん。 俺は、君の記憶を操って自分の未練をなくそうとしました。 由希に俺を忘れるように操った。 忘れられるのはやっぱり辛かったけど お互いが楽しむには、これしかありませんでした。 由希の夢まで操りました。 ごめんなさい 俺は由希が大好きでした」 その数日後、優は亡くなった。 でもあの夢は、現実と同じようなものだったと思っている。 だって優も私に会ったし、私も優に会ったから。 時々考えることがある。 『君との夢は本当に幻だったのか』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー