夜の校舎の烏姫
築五十年を超える校舎の前。 私と親友の朱音は、夏休みに同学年女子達で行われる肝試しに二人一組で一番目に参加していた。 「朱音、入ろう」 「分かってる、行こ、夏帆」 私たちは夜の学校に入った。 「美術室に入って、また戻れば良いんだよね?」 「うん、多分」 朱音の声にも不安…恐怖が滲み出ている。 ひた、ひた。 冷たい床に響く足音。 もちろん私たちのものだ。 「夏帆…怖いよ」 「私も怖い。」 お互い身を寄せ合いながら自分たち以外人のいない校舎を歩く。 そして、四階の美術室に入った。 中はもちらん、誰もいない。 「ふぅ…」 一息ついた時。 ひた…ひた… 床を誰かが歩く音がした。 「ひっ!!」 「嘘でしょ!?」 ガラッと美術室のドアが開き、すぅっと何かの姿が現れた。 それは…黒髪のおかっぱで私たちと同じくらいの少女だった。 ただ、彼女を人間でないと認める要素はあまりにもあった。 頭には茶色いヤギの角があり、背中からは烏(からす)の様な真っ黒い羽が生えている。 また、白に赤い紋の袴姿なのだ。 「化け物…」 少女はゆっくりと私と朱音の元に近づいて来た。 ひた…ひた… そして、少女は言った。 「夜の学校はわたし、烏姫の縄張りだ。 お前たちは人間だな?」 「嫌…」 烏姫と名乗る怪異の少女ははぁ、と息をついた。 「夏の、『肝試し』ってやつか。 お前たちは喰われたいんだね?」 あわてて私は首を振る。 朱音は顔面蒼白で震えていた。 「…喰いはしない。不味そうだ。 仕方ない、お前たちを学校前まで運んでやるから、もう他の女子たちを学校に入れてはいけないぞ。良いな?」 「「…は、はい」」 少女は大きな烏になり、私たち二人を抱えて学校前まで運んだ。 他の女子たちに見られないあたりで少女…烏姫は元の姿に戻り、私と朱音を離した。 「ほら、戻れ。二度と夜の学校に来るでないぞ」 「あ、ありがとう…」 「ふん、他の女子が来たらもう喰うからな?」 そう言い残して去っていく。 朱音は恐怖で顔が引きつっているが、私はもう烏姫に恐怖心は抱いていなかった。 私はその後みんなの元に戻り、 『やめたほうが良い』 と言い訳を並べ、何とか肝試しを中止させた。 その後、私の学校では言わずとも何故か 『烏姫』 の噂が広まった。 烏姫は烏の怪異で、夜に学校に来た人間を喰わずに学校前に返す。 しかし、彼女のいいつけを守らないと四日以内に喰われてしまうのだとか。 それ以来、私は夜の学校には一切近寄っていない。 きっと今日も夜の学校で烏姫は入り込んだ人間を探しているのだろう。 完
みんなの答え
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すごい!
ひた、ひたとかの効果音がいっぱいあってそこにいるみたい! 暑い夏にぴったりだ~
ゾッとしますね!
こわいはなしかけるなんて! いいな~すごかったです!