あの夏の入道雲はどこに
「無駄だよ。君は何もできないんだ」 夏の日を後ろに、君は僕に言ったよね。 「何、あなたは私を変えることはできない」 僕は現実を突きつけられて、何も言えなかった。 「どうせ失敗する。こんな体…何も知らずに死んで行くなら、私の大好きなものと一緒に故意で死んだ方がマシなの」 それでも意地で、僕は引くことができない。引けない。 「君にできることは…そうね。 ねえ、私とゲーム、してみない?」 * 彼女は僕にゲームをしようと持ちかけた。 手術をする前…夕日が地平線に沈むまでがタイムリミット。 それまでに、彼女の大好きな入道雲を撮ってきて欲しいと言うのだ。 長く短い夏休みをふんだんに使って、とっておきの入道雲探しが始まった。 でも、見つからない。ないことはない。が、『とっておき』と言えるほどの彼女を納得させる入道雲は無い。 そんな僕の焦りをよそに、カレンダーはめくれて、星が煌めき朝日が顔を出す。 カレンダーの8月、最後のページ。 結局、入道雲は見つからなかった。 そんな時、とあるライターの記事を見つけた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 8月31日 さて皆さん、今年の8月は無事に過ごせそうですか? 僕の住んでいる県は長野ですが、思ったより綺麗な景色がたくさん撮れました! 今日の一押しは、夏の風物詩、入道雲です! ただ、今まで僕の出会ってきた入道雲とは一味違うんですよ。 うまくは表せませんが、引き込まれるような、吸い込まれるような、包んでくれそうな… 僕の語彙力に限界がきてしまったようなので、実際のお写真を見てください!… ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー これだ! 立ち上がって、一眼レフを引っ掴むと、長野へ行く準備をした。行きで3時間ほどかかるので、今から行けば6時ほどには帰れているはずだ。夏は日が落ちるのが遅いので、助かったと言える。 足に檄を入れ飛ばしていると、ぽつ、ぽつり…小雨が降ってきたかと思ったら、途端に大雨に変わった。 う、と嫌な予感がした。 噂の場所へ行ってみると、そこは僕に重圧をかけるように重い雨雲が青空にのしかかっていた。 入道雲が雨雲へと変化してしまったのだ。 僕は諦めたように息をついた。 * 屋上へ行くと、あの時と同じように彼女が夕陽を背にしていた。 「残念…君ならいけると思ったんだけどなあ」 彼女の腕から夕日と同じ茜色が滴った。 彼女が手を伸ばす。僕も歩み寄り、手を伸ばす。 優しく手を握ると、僕の腕からも茜色が滴たり…少し生温かい。 彼女の青い目は、さながら夕日を写し波打つ海のようだ。少し、潤んでいる。 手を引き合い、手すりに足を掛け。 ーーーーー滴のように、海に落ちた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて短編書いてみたToriです! 最後の文字とかに気を付けてみましたが…アドバイス頂けると幸いです。
みんなの答え
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凄い...
”「どうせ失敗する。こんな体…何も知らずに死んで行くなら、私の大好きなものと一緒に故意で死んだ方がマシなの」” そして、”彼女”が一緒に死んだのは”僕”だったから、 ”彼女”の”大好きな物”は”僕”だったってこと? 凄い...
文豪発見!!
エッエッ 天才か! すげえ…語彙力飛んだ…こーゆー系めっちゃすいいだわ…ファンになります…
え、うますぎでは??
うますぎません?? 言葉のチョイスが…すきいいいい… 短編小説の掘り返してた甲斐があった!! 天才か???
凄く上手
天才だと思うぐらい上手でした 私は2年前から小説書いてるけど上達しないから尊敬です 言葉の表し方も上手で羨ましいです 私が思うには本出せるレベルだと思います
感嘆の一言です!
私も小説書いているんですけど、タイトルから引き寄せられました。言葉の使い方とか、茜色とかの言葉のチョイスが素敵です!もうこれなら小説本出せますよ!っていうぐらいほんとに好きです、、
ん…?
タイトルがまずすごくて引き寄せられました。 それで見てみたら圧倒的文章力。 これは天才としか言いようがない… 私だったらこんなの書けませんよ>< ファンになりそうです! 素敵な小説を読ませて頂き、ありがとうこざいました(ω///)バイバイ
@qos@&・□□※
マヨです! うますぎてタイトルかんがえれなかった! えっとえっとえっと...何このうまさは!?!? こんな才能ある人あなたしかいない! ほんっと! 言葉の表し方がすごい!!! ああえ?これってあなたが考えたんだよね? もうほんっと言葉に表せれないくらいうますぎる。 あぁでも言葉の表し方がうまいあなたはうまく表せれるんだろうなぁ ん?ん?ん?んー?同い年じゃん! 情けない。私。