短編小説みんなの答え:0

僕の目、君の目。

僕の視界はお先真っ暗となった。 まあ、失明したってわけ。 その事を親から聞いたのか、友人が病院へすっ飛んできた。 「目、見えなくなったの?」 僕の頬を包んで優しく問いかけてきた。 『…うん、見ての通り。』 口で言うよりも早い、そう思って僕は友人へ光が宿らないであろう瞳を見せた。 風を切るような音がした。大方、友人が口をおさえたのだろう。鼻をすする音も聞こえる。 母は僕を抱いて震えながら泣き、父は廊下で啜り泣いて、友人は口をおさえて静かに泣く。 まあ、これは僕の予想なんだけど。 「…僕が代わりになるよ。」 「君の目に。」 そう言われた時は思わず泣いてしまった。 その時だけ、生きている心地がした。 「直ぐそこ、段差あるよ」 「はい、お茶。お口開けて?」 「外?…じゃあお手々貸して」 それから友人は本当に僕の目となってくれた。 とても有難い。だけとたまに羨ましく思う。 『君が羨ましいよ。周りが明るいだなんて』 「…僕は確かに目は見えるけど、耳がちょっと疎かなんだ。だから、僕はお前が羨ましいよ」 友人は前から耳が遠かった、僕は前から目が悪かった。どちらも少しずつ悪くなっていて、僕が先にゴールしちゃったんだ。 『…お互いの耳と目、交換したいね。』 「………医療技術が進んだらの話だけどね。」 二人で笑いあった。 目を覚ますと。そこはやはり病院だった。 「あら、おはよう。」 母が僕に笑いかける。 口が緩みそうになる中、僕は母にこう言った。 『お母さん、髪染めた?綺麗な茶髪。』 母は何も言わなかった。 友人が相も変わらず見舞いに来てくれた。小さな紙を持って。 「見て見て。今日健康診断があったんだ…あ、ごめ」 『ううん、気にしないで。大丈夫』 友人は気まずそうに眉を下げた。 「視力検査でね…ホラここ。見えないだろうけど、視力が落ちてたんだ。」 『え、携帯の見すぎ?』 「お前のこと見てたけど… 物理的に。」 そう言って友人は結果の所へ指をさした。 「AからDになったんだ。眼鏡かけてみたんだけど、ぼやけるんだ。」 『そっか…。ちゃんとお目々治してよ?』 僕はかたい笑みを浮かべ友人の背中を撫でた。 暑さのせいか、 僕の指先はいつもより赤かった。

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