拝啓、ホオズキ色のキミヘ。
ーー拝啓。ホオズキ色のキミへ。 「貴方、ラナンキュラスのお花みたい」 図書館。一番奥。太陽がそそぐ席。綺麗な翡翠が俺を向く。なんだこいつ…と若干引く。耳慣れない言葉を口にする小柄な少女にずり落ちる丸眼鏡を直しながら目を向けた。 「俺、花については専門外なんで。他をあたって頂いて。」つっけんどんに言い返すと少女は面白おかしくフフッと笑った。「あなた、いつもここにいるわね。本、ずっと読んでて楽しいの?」翡翠のような珍しい瞳をもつ少女は俺に問いかけた。「本は不変だろ。人のように次から次へと変わるものは信じられねぇ。俺は不変が欲しいのよ。」独特すぎる論をぶつける。さっさと帰って欲しかった。 「あなた、私と一緒ね…」翡翠が下を向き、しばらくの間押し黙る。「じゃあ、俺行くから。」そう言って一人逃げてきた。 次の日、彼女はくるのだろうか。と考えながら花言葉についての本を調べていた。 『ラナンキュラス… 「晴れやかな魅力」「光輝を放つ」』 …は?なにを持ってそう思ったのだろうか。会話はあれで初めての筈だ。考えをしながら読み進めると、手が止まった。 『カラー… 「乙女のしとやかさ」「清浄」』 あの翡翠にぴったりだ。そう思っていると「ご機嫌よう。」翡翠がこっちを向いていた。「おう。お前カラー?の花みたいだな。似合うだろ!」自慢げに言うと「そうかしら。私は私をホオズキのお花だと思うわ。」と翡翠が沈んだ。ホ、ホ、ホオズキ…。 『ホオズキ…「偽り」「ごまかし」』 「っ大丈夫!!俺がいる!!俺が言えることじゃあないけど!!」 と思わず口に出していた。冷たい汗が止まらない。なんてことを言ってしまったのだろうか。彼女は一体ーーー? 「そんな気を重くしなくとも大丈夫よ。」 笑いを噛み殺しながら彼女は続けた。 「あなたはとっても心が美しいのね。」彼女はそう残して帰ってしまった。 「俺、なんの話もしてないのに…」 彼女は毎日俺に会いにきた。 特に名前を聞くこともなく、図書館から移動することもなく。 今日も駆け足で図書館に行く。 急いては事を仕損じる。その通りだった。 図書館手前の横断歩道。俺の視界は暗転した…。 目が覚めると、白い天井、白い部屋。はぁ。どこぞの小説かよ。まぁその割には怪我軽くね?1人でツッコミながら周りを見た。 話を聞くと手摺りありなら歩けるということなので病院中を練り歩く。 その時見えた、ホオズキの花。ちらりと見える少女。 「うそだろ…。」眠ったまま、目を覚さない彼女の姿。立ち尽くしてしまった。 「あの子、陽姫ちゃん、って言ってね、脳死、みたいよ。」 「……い、つ?」 「あなたが事故にあった日。」 翡翠色の瞳を持つ、はるひ、という少女。哀れみながら看護師が続ける。 「なんでも愛想笑いばかりして感情がなかった子らしいのよ。誰かを庇おうとして脳死、という話だけれども…?」 震えが止まらない。叫びたい。悔しい。突然取り乱した俺を看護師は驚いたように落ち着かせ、話をさせた。 「俺あの子、とその日、ま、ちあわせ、をしてて…」それを聞いた看護師は慌てたように何処かへ行ってしまった。 「これ、陽姫ちゃんが意識失う間際に預かったものなの…!」 それは、ワスレナグサの栞。 ワスレナグサの、花言葉。忘れるわけもない。 『ワスレナグサ(勿忘草)…「真実の愛」「私を忘れないで」』 やっと、変われる気がしたのにねーーーーー。そう聞こえたような気がした。
みんなの答え
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す、凄くないですか!?
もっけ飴です(*´∀`*) え、凄くないですか!? 語彙力が高すぎて、分けて欲しいくらいです…笑 花言葉系の小説、私めっちゃ好きなんですよ。 なんか、最後に感動しました! 文章一つ一つがとても綺麗で、読んでいてとても楽しかったです!! 次回作、待ってますね♪ それでは~。