Lily 0
「見て、新入りのリリーって子、すごい美人じゃなくて?」 「あら本当。しとやかで色白でつやのある黒髪で・・・まるで百合の花のよう」 「名前がぴったりですわね。名付け親のセンスは確かだわ」 他の召使いが、こちらを向いてうふふと笑っている。 ‘’俺‘’はスカートをすっと上げ、できるだけしとやかに見えるよう 会釈した。召使いたちの頬が少し赤くなった。‘’俺‘’が前を向き、 また進み始めると、後ろで 「やっぱりきれいだわ、あの子」 「あんなにきれいなんだもの、そりゃご主人さまだって自分の館に 居させたくなるわ」 と、ため息交じりの声が聞こえた。 同時に、俺もため息をつく。 (良かった、ちゃんと女だと思われている) 俺は男だ。そして、『吸血鬼』専門の殺し屋だ。 町の者に依頼を受け、ここに来た。 この館の主人である『吸血鬼』は、同性である男を極端に嫌うため、 女しか館の敷地に入れない。 だから、俺は女装し、召使いとして潜入しているのだ。 制限時間は一か月。それまでに主人を殺す。 それが任務だ。 Lily 0 end