穴
今、俺は大学生だ。実家を出て一人暮らしをしている。そんな俺の話をきいてくれ。 東京でバイトを見つけるのは、意外と骨が折れる。仕送りをもらっているとはいえ、少しでも自分で稼ぎたいとは思う。 かといって、本業である大学をおろそかにするわけにもいかず、その結果が、俺の住まいに表れている。 まあ、簡単にいえば「古くてボロい」ということだ。身も蓋もない言い方だけど。 築40年。木造。廊下は歩けばギシギシ鳴る。今まで潰れなかったのが奇跡だと思う。また地震か台風がきたら、今度こそ崩れるんじゃないか? という所謂(いわゆる)おんぼろアパートなのだが、生活するぶんには困らないし、家賃も安いので俺には十分だ。 やっと、大学を終え、我が家に帰る。廊下の電球が切れかかっているせいで薄暗い。共益費は払っているんだから、はやく直してくれないかな。 自分の部屋の扉に向かう。その途中、大きな鏡がかかっていた。...こんな鏡あったっけ?覗き込むと普通の鏡だ。てっきり、呪いの鏡、とかで、幽霊とかうつるかあと思ったんだけど。 陰気くさいし、目つき悪いし、女子受けしないわけだよなぁ~。青春したい。(もう大学生だけど) 次の日、少し早めに帰ってこられた。すると、アパートの前に大家さんが立ち話をしていた。 電球が切れていたのを思い出し、伝えようと声をかける。 「あの、大家さん。201の新藤(俺)です。」 「ああ。どうも~。」 「廊下の電球が切れかかっているんですけど...。」 「ああ、それなら直しておいたよ。ごめんね~。」 「ああいえ。よかったです。」 そして、自分の部屋へ戻ろうとすると、大家さんに呼び止められる。 「新藤さん!」 「はい?なんですか?家賃は溜まってませんよね...?」 「家賃は大丈夫よ。安心して。それより、2階の廊下、壁に穴が開いててね...。」 「穴?」 「ええ。動物にやられたみたいなんだけどね...。とりあえず今は、応急処置ってことでテープを張ってあるの。明日には直すから。 それと、物置にいい感じの額縁が置いてあってね。『どうせなら掛けておけば?』って、昨日、鈴木の奥さんに言われて、遊び心でか けておいたの。ただの穴が美術作品になったわ。あはは! そうそう。だから、寝ぼけて手、付いたりしないでね。穴が広がるし、下に落ちないとも限らないから。」 「はあ...。」 額縁?昨日って...?気づかなかっただけか。 部屋に戻る途中、例の額縁を見つけた。結構大きいな。姿見ぐらいある...。 しかし、額縁の中には穴がばっちり開いていた。なるほど。こうしてみると美術品に見えなくもない...か...? そうして、部屋でのんびりしていた時に、ようやく俺は気づいた。 いや、むしろ何故話を聞いたときに気づかなかったのか?だから、友達にも「お前は鈍い」って言われるのか。 というわけで、俺は今、部屋で戦慄しているという訳だ。 はやく忘れたい。でも、明日もあれの前を通らなくちゃいけないんだよな...。 しょうがない。 猫動画で癒されるしかない! 後日、穴は無事塞がれましたとさ。
みんなの答え
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いいですね
とってもいい作品だと思います‼️
面白い!
ホラーというものに入るのですかね? 面白かったです。 good!
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ホラーです!