短編小説 心の距離
短編小説 心の距離 私もあんな風に、彼と話したい。 そう思ってても、私達の心の距離は縮まることなどなくて。彼__杉本さんと笑い合える人が羨ましい。ずるい。そんなことを思ってしまう私は悪い子ですか? クラスの中には、目に見えない上下関係、つまりカーストがある。 私__宮崎桜は、きっと下の上くらいになるのだろう。勉強はできても、運動はできない。自分から誰かに話しかけられなくて、友達も少ない。 そして、杉本さんは上の中ってところかな。運動ができて明るくて、常にクラスの中心。いかにも、「青春してます!」って感じがする。 そう、私とは真逆の立場なんだ。杉本さんは誰にでも優しくて、とにかくモテる。今は、杉本さんと同じカースト上位の坂本凛花さんと付き合ってるってクラスの子が言ってたなぁ。 絶対に縮まることなどない距離。同じクラスにいて、すぐそこにいるようでも、手の届かない場所。そんな人に、私は恋をしました。 ある日のことだった。その日は朝から頭がいたくて、なんだかフラフラしていた。移動教室の時。いつもの階段を下っていると。突然めまいがして、ばたりと倒れてしまった。 「宮崎!大丈夫か!?」誰かが私の名前を呼んでいる。 あれ、夢かな。杉本さんがそこにいて、私を呼んでいる。絶対に届かないはずの手が、届く。ああ、いい夢だな。今なら言ってもいいかも。 「杉本さん、好きです。ずっと好きでした。」 「み、宮崎?」 「私と、お付き合いしてください。」 「………はい。」 もしこれが、現実だったらどんなにいいだろう。そう思いながら、また、眠りについた。 「はっ!」目が覚めた。授業!寝てる場合じゃない! はっと飛び起きると、そこにはビックリした顔をする杉本さんがいた。 ん?まさか……夢じゃなかった!? 「あの、宮崎?まだ寝てた方が……ずっとここにいるからさ。」 「あれ、あの、私さっきその、好きですとか…言いました………?」 「えっと…言いました。」顔を赤くして答える杉本さん。 「えっとその、杉本さん「はい。」って言いました…?」 「い…言いました。」 あれ、あれ、どういうこと!? 「あの…改めて言うね、俺と、つきあってください!」 「いや、坂本さんは?二股ですか!?」 パニックになる私。杉本さんは、一つ一つ説明してくれた。 「え~~~!じゃあ坂本さんと付き合ってないんですか!」 「だから、宮崎のことが好きって言ってるでしょ!」 届くことなどないと思っていた気持ちはいつの間にか届いていて、縮まることなどないと思っていた心の距離はすっかり縮まっていた。 「グスッ、これからよろしくお願いします。う~。」 「ちょ、泣かないで~。」 そうして付き合うことになった私達。皆さんにも素敵な出会いがありますように! 長くなってしまいすみませんでした。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました!