【短編小説】 太陽のカレーライス
太陽のカレーライス 「私なんか居ない方が楽だもんね。」 はー。やっちゃった…。 つい言ってしまった自分の言葉を強く恨みながら、私は小学校のグラウンドを歩いていた。 一時間前、 「いつまでも寝てないで早く起きなさい!」 そんな母の声に うるさ…。とつぶやきながら布団に潜った。今日の私はなんかイライラしていた。きっと嫌な夢でも見てたんだろう。なんにもやる気が出ないままダラダラしていると母が部屋に入ってきた。 「そんなだらけてる暇あるなら勉強か家の手伝いでもしたら?」 正論だ。 「こっちはあんたの専門学校のために働いて頑張ってるのにあんたは…」 リビングで走り回る弟達の騒ぎ声が頭にくる。後悔した時にはもうおそかった。 「私なんかいないほうが楽だもんね。」 そんな最低な言葉を吐いて私は家を出た。 「ママだってあんな言い方ないじゃんねー。」 地面を歩くアリに話しかけても返事はない。自分のしている事に急に恥ずかしくなった私はあの時の悲しそうな母の顔を吹き飛ばすように思いっきりブランコをこいだ。その瞬間目の前が真っ白になり体が宙を浮く感覚が自分でもわかった。 「落ちる…!」 私の記憶はそこで途切れた。 目が覚めると知らない部屋にいた。 ーここどこ…ってか今何時…? 慌ててスマホを探していると壁にかかっているカレンダーが目に入り目を疑った。 昭和六十四年 六月一〇日 。 (どういうこと…?)私が戸惑っていると 「あ、目覚めた?」 と可愛らしい声が聞こえた。振り返るとそこには私と同じくらいの女の子がいた。三つ編みをした笑顔の可愛い太陽のような子だった。 「びっくりしたよ!目の前で人が倒れてるんだもん!」 女の子はなぜなケラケラ笑いながら私の隣に座った。状況を理解できてない私に女の子は急に 「お腹すいてない?カレー食べる?」 と聞いてきた。昼間からカレーって…。そう思ったが、朝ご飯も食べず家を飛び出してきたから確かにお腹もすいていて貰うことにした。 「いただきます」 ひとくち食べると私はなぜか泣きたくなった。すごく優しくて暖かい味がした。 「おいしい。」 私がそう言うと、女の子は 「でしょ?具だくさんカレー!!」 と楽しそうに笑った。変な子。だけどなんか懐かしいその子の笑顔を見てると少しずつ気持ちが落ち着いていた。 「実はさ、ママと喧嘩したんだ。」 私は無意識に女の子に話しかけていた。 「ママさ、私のためにすごく頑張ってるのに。…酷いこと言っちゃった。」 すると女の子は私に言った。 「あなたってお母さんが大好きなのね!いいな~、喧嘩できるお母さんがいて! 私、お母さんとあまり話さないから…」 女の子は少し寂しそうだ。 そしてニコッと笑って嬉しそうに言った。 「私ね!お母さんになるのが夢なんだ! 自分の子供に囲まれて、家族でずーっとわらってたいの!!」 そう話す女の子の横顔はやっぱり太陽のようだった。 「いい夢だね。」私が言うと 「叶うかな?」と女の子は恥ずかしそうに笑った。 私は女の子の名前を聞いてなかったことに気づいた。 「そう言えば、あなた名前は?」 「私は………」 気がつくと私はいつものグラウンドにいた。 「夢…?」女の子はもう居なかった。 「きっと叶うよ。」そう呟き、帰ろ。と私は歩き出した。家のドアを恐る恐る開けると 「おかえり!今日の夜ご飯はカレーだよー」 と太陽のような笑顔の母がいた。 「まま、ありがとう」 夜ご飯にでてきた今日二度目のカレーは優しくて暖かい味の具だくさんカレーだった。
みんなの答え
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ステキなお話ですね!
こんにちは!しのぶさん推しです! とってもステキなお話ですね!具だくさんカレーをくれた女の子は、昔のお母さんだったのかな…
スゴイ!
とても心暖まる優しい物語ですね。