【短編小説】あの日
この写真に手を合わせるのは、今日で何回目だろう。 写真に写っているのは、白いフワフワな毛が特徴で、くりくりしたどんぐりみたいな目。 あの日、ももかが死んだ。 ももかとは、私達が飼ってた犬。犬種はポメラニアン。 小さい体なのに、本当に頑張り屋だった。 ソファーに上ろうと、つまずいても諦めず。おやつをもらおうと必死に鳴いてて。私は諦めかけておやつをあげるとすっごい喜んで。 ももかは私の癒しだった。 一人っ子の私からして、ももかは可愛い妹みたいな存在。 楽しかったな。 ももかが初めてうちに来たあの日。 北海道に旅行に行って、草原で走ったあの日。 ももかが転んで、急いで起こしに行ったら、爆睡してて、お母さんと笑い合ったあの日。 ももかとの毎日は、すっごく楽しかったよ。 ずっと忘れないよ。 ……暑い。今は夏で、部屋の中が蒸し蒸しする。 うちは貧乏で、古いアパートに住んでいる。 周りにあまり木がないから、日光が直行で入るんだ。 エアコン壊れてるし、しかたない。窓を開けるか。 鍵をあけ、部屋の窓を開けた瞬開、髪の毛一つ一つが緩やかに踊り始めた。 風と一緒に遠くから運ばれた木々の夏の香り。 ベランダの地面をみると、洗濯物の日光に反射した影が、気持ちいいと言うようにゆっくり揺れている。 ……ももかも、ベランダで命をたった。 私とお母さんが、買い物に行っていた。 ももかはもうヨレヨレで、自由にさせてあげたいから、ベランダと部屋の中を自由に行き来していいようにしてあげたんだ。 その時はまだ涼しい季節だったから、ベランダに出ても大丈夫だとお母さんが言ってたんだけど、死んだ後、お母さんが 「もしかしたら暑さでやられたんじゃない?」 って言ったの。 それから私はベランダに足を踏み入れてない。 暑さでやられたとは限らないけど。 もしかしたら。と思うと…… ーーーでもーーー 裸足のまま、自然の地面に左足を伸ばす。 次に、右足。 一歩ずつ、ゆっくり進んで、塀に手をかける。 風が私のほっぺに冷たい空気を送り込む。 ももかは優しい風に包まれながら、天国へ行ったのかな。 目頭が熱くなる。 それとも、おいしいおやつの夢を見ながらかな? それとも……それとも…… ほっぺに水がたくさん伝っていく。風で水がすうすう冷たくなる。 「瑠夏ーーーーーーー!夏休みの宿題やってないでしょ!!!」 こういう時、ももかだったら、目から鼻水でてる!とびっくりする顔するんだろうな。 「瑠夏っ!聞いてるの!ベランダにいるでしょ!?」 ももかが幸せだったら私も幸せだよ。 「瑠夏!……裸足!?裸足で外出てるのっ!?」 お母さん……私は急いで手の甲で水をふく。 「ごめん。宿題やってる途中だったの。外から声がして、急いでみたら、小さい子供が遊んでた。」 ここまで読んでくれてありがとうございます^ ^ 感想くれると嬉しいです!
みんなの答え
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感動した…
瑠夏ちゃんの気持ちが綺麗に描写されていて、とても感動しました! 素敵なお話をありがとうございます! 次作を楽しみにしてます(`・ω・´)
いいお話でしたね。
いいお話ありがとうございます! 犬が死ぬ悲しさが少しわかった気がしました。