孤独な少女と盲目の猫
私の親はお母さんだけ。 私が赤ちゃんの時に離婚したらしい。 じゃあ、いつも連れてくるあの男の人は誰なんだろう。 まぁ、私には関係ないか。 ご飯は今日も冷めたパン。 お母さんは私が寝てる間にどっかに出かける。そして、時間帯は決まってないけど、男の人を連れて帰ってくる。 窓から見えるのは、ランドセルを背負った私と同い年ぐらいの子たち。 私「いいな」 そこにお母さんが帰ってきた。 私「どうしたの?」 私の問いかけに、母は答えなかった。 すると、男の人が入ってきた。 男「お前邪魔。外行けよ」 邪魔なのか。じゃあ公園行こ。 生憎、外は雨だった。 服がびしょびしょになりながら、私は歩いた。 「ニャー」 すると、どこかから声がした。 私は声の主を探した。 そこには、汚れた薄汚い猫が座っていた。 私はその猫に、たまたま持っていたパンの欠片をあげた。 けれど、こっちに来ない。 近くに置くと、ふらふらしながらパンを探して食べた。 その猫の目を見ると、濁っていた。 私「あなた、目、見えないの?」 私が聞くと、猫は 「ニャー」 と一言鳴いた。 次の日、私はパンをいつもより多めに残して猫にあげた。 猫は 「ニャー」 とお辞儀をしてから食べた。 次の日も次の日も、あげ続けた。 それから4年たったある日、猫はいなくなった。 私が探していると、大人の人が話しかけてきた。 大人「猫探してるの?」 私「うん。」 大人「猫ちゃんね、私達職員に保護されたのよ。」 保護? 私「保護って?」 大人「えっ」 私の、見た目とは反対の、幼稚な質問に大人の人は固まった。 そして、大人の人は 「ちょっとおいで」と言って、私の手を握った。 私達が歩いて行ったら、一台の車があった。 私はそこに大人の人と乗った。 暫くして着いたのは、大きな施設だった。 大人の人は他の大人の人と話している。 話が終わると、大人の人が私に 「貴女も保護されるよ」と言った。 そこからは私はその施設で過ごした。 ある日、施設でテレビを見ていると動物の番組があった。 私「あっ」 なんと、そこに映っていたのは、あの猫だったのだ。 ナレーションは 「盲目の猫が、奇跡的に回復し新しい飼い主を見つける事ができました!」と言っていた。 あの猫にまちがいない。私は何故かそう思った。 それから私は勉強して、学校へ行き、卒業した。 来年から私は社会人。 あの猫がいなかったら、私は今頃どうなっていたのだろうと想像すると、ゾッとする。 親とはあれから一度も会っていない。 今日も私は、幸せに暮らしている。 _終わり_