妖しき猫又物語 ~椿の花一輪~
さんさんと照りつける太陽の光。 私…狛坂妖寧(こまさかあやね)は学校から帰っている最中だった。 下町の様な古びた町並みを通り、もう今は使われていない小さな廃トンネルを抜ける。 そしてさらに進むと、まるで異世界の様な妖しい雰囲気の森が出てくる。 そこに一歩、足を踏み入れた。 するとそこは、神社の境内の様な場所に変わるのだ。 薄暗い空のした、石畳の道にぼやんとした暖かい蛍に似た光が漂い、季節関係なく椿の花が咲き誇っている。 さらに目の前には、「封」と書かれたお札が貼られた赤い鳥居が立つ。 「さてとっ」 私はカバンから一枚のお札を取り出し、それを持って椿の花一輪を手に乗せた。 ぼんっ。 私の周りに煙が立ち、煙が晴れた時にその場にいたのは、深緑色の毛並みをしており、金色の目に二又の尾を持つ猫だ。 「ふふ」 そう、私は猫又(ねこまた)という猫の怪異なのだ。 正確には、猫又と人間のハーフだけれど。 そして此処が先祖代々受け継がれてきた境界(きょうかい)。 この場所は結構気に入っている。 さてと、今日も町を回るとしよう。 椿の花一輪を加え、境界を出て町に降りる。 今日は誰にこの花を渡そうか。 この町での「猫又」の噂は、 『辺りも暗くなってきた頃人気のない道を歩いていると突然緑髪の少女が現れる。その少女は出会うと椿の花一輪を渡す。その花を持っていると幸運が舞い降りて来る』 という、随分とご利益のあるものなのだ。 ちなみに、「緑髪の少女」は私のことだ。 そんなことを思いながら、町の神社の側にある道を進む。 (人がいる!) 長い黒髪の女性だ。 うろうろとしている。 もしかすると、誰かを待っているのかもしれない。 私はそぅっと女性に近寄り、声をかけた。 「どうかしましたか?」 「!!」 女性は目を丸くして私を穴が開くくらいに見つめる。 「貴方(あなた)…もしかして噂の?」 「え?噂って何ですか?」 「猫又の。緑髪の女の子に会って、椿の花を渡されると幸運が舞い降りる…っていう」 この人は噂を知っているらしい。 「へぇ、そんなのがあるんですね。知りませんでした。 所で、誰かを待っているのですか?」 「猫又を待っていたの」 (幸運になりたいということか…) 私はふぅ、と息をつき微笑む。 「幸運になりたいんですね?」 「えぇ。仕事は何一つ出来ないし、恋愛だってしたことがない。あたしは能無しよ。努力しても無駄。…何でなのかしら」 そして女性は深いため息をついた。 (よし、今日はこの女性に渡そう) 私はそう決心し、椿の花を出して女性に見せた。 「貴方にあげます」 「え?やっぱり、貴方が猫又の女の子なの?」 「ふふ」 私は花を持ち、猫又に姿を変える。 ぼんっ。 椿の花を加えた猫又の私はそのまま女性に花を渡した。 「幸運、訪れると良いですね」 「ありがとう!!」 「貴方の名前は?」 そう尋ねると、椿の花一輪を手に乗せた女性は笑った。 「菜穂子(なおこ)。菜穂子よ」 「菜穂子さん…さようなら」 「猫又さん、このことは忘れないわ!」 そんな声が、駆け出す私に聞こえた。 菜穂子さんに、幸運が訪れます様に。 そして私はその日の猫又としての役目を終えた。 その後、菜穂子という女性がめでたく職場の人間と結婚したという話を風の噂で私は聞いた。 さて、今日は誰に椿の花一輪を渡そうか。 ~『椿の花一輪』完~ ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めまして、花狐はく(はなこはく)です。 初投稿なので下手だと思いますが最後まで読んでくださった方に感謝します!! コメント頂けるととても嬉しいです! それでは、失礼。
みんなの答え
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すごいです!
はじめまして、こうのとりです、とても良かったです話がとても綺麗で正義のヒロインって感じでした!次の作品待ってます 頑張ってください!
え、すごすぎ……
幻想的な世界と、妖怪猫又……。 他のキャラクターとかも増やしたら、普通に長編小説にできそうですね。 とても面白かったです!
初めて!?
同い年だから、タメ口でいくね! えっ初めて!? すごい上手だよ!! 引き込まれた! 深緑色の髪に金色の目!綺麗ー!! 私もその椿の花一輪もらいたい~… 見ない名前だなーとは思ったけど、初めてなんだね! こんにちは!ありぴーです!(自己紹介遅れてごめん) 花狐はくさんね!覚えた!! 名前まで綺麗だね! はくちゃんって呼んでいいかな? すごいよ!上手! 次も楽しみに待ってるね!!