蛍と少女とりんご飴。
一年に一度の夏祭りの日。 僕は、不思議な出会いをした…。 屋台で買ったりんご飴をまだ食べずに手で持ち、僕は座る場所はないかと歩き回っている。 そして段々人が少なくなってきた辺りに木製の古いベンチがあったので、そこに腰を下ろす。 「!」 すると、横には水色の浴衣を着た僕より少し年上であろう少女が座っていた。 女の子は僕を見て、優しく微笑んだ。 「夏祭りって良いわね」 「あ、はい。」 見ない顔だ。 しかも、結構な美少女である。 「…わたし、灯里(あかり)って言うの。あなたは?」 「僕?僕は、光(こう)。」 「まぁ、良い名前ね。灯里と光…どっちも明るい名前。」 灯里さんは、不思議で、どこか儚げな雰囲気を纏っていた。 口調も、どこか大人びている。 「灯里さん」 「なぁに」 「これ、上げます」 僕はまだ食べていないりんご飴を灯里さんに渡す。 「え、良いの?」 僕は頷く。 灯里さんは、まだ溶けていない飴が赤く光る綺麗なりんご飴をペロリとなめた。 「まぁ、とても甘いのね。」 そして灯里さんは十分後には綺麗に食べ終わっていた。 「ありがとう、光。…そうだわ!」 「?」 灯里さんは手をパン、と叩いて緑色の目を光らせて言う。 「付いてきて。見せたいものがあるの」 「?」 「早く」 僕は歩き出した灯里さんを追い、彼女が入っていった森に飛び込んだ。 夏祭りの夜の森はいつもと違い幻想的な雰囲気だった。 「すごい…」 「ふふふ。もうすぐよ」 そして、灯里さんは古い赤い橋に足を踏み入れ、立ち止まった。 「光、見て!」 「え?」 僕も赤い橋で立ち止まり、その下を見る。 すると… 「!!」 透明に透き通った水が流れる小川の上…草の周りや水面に、たくさんの蛍が飛んでいた。 「蛍!?」 「あまり知られていないみたいだけれど、綺麗でしょう?」 「綺麗ですね…!」 僕がそう言うと、灯里さんはどこか儚げに微笑んだ後、こう呟いた。 「でもね、一週間ほどでこの命の灯火は消えてしまうの」 「そうか、蛍は一週間ほどだから…」 「私、とても寂しいの。誰かに、この蛍を見て欲しかった。あなたで良かった気がするわ。 ありがとう…、光」 「そんなこと…」 「ねぇ、お願い。また一週間後にここに来てほしいの」 また、一週間後? 蛍がいなくなる時期だ。 きっと灯里さんは蛍が大好きなのだろう。 「良いですよ。また来ます」 「良かった!」 灯里さんは、花の様に笑った。 「じゃあ、また会いましょう…!」 そして、気がつくと僕はベンチにりんご飴を持って座っていた。 灯里さんはどこにもいなかった。 僕は不思議に思いながらも溶けかけているりんご飴をぺろりと舐めるのだった。 一週間後。 僕は必死にあの道を思い出しながら森の中の赤い橋に向かっている。 やがて息を切らしながら赤い橋に辿り着いた時には、既に灯里さんが蛍を見つめながら佇んでいた。 「灯里さん!」 灯里さんは僕に気づき、ゆっくりと振り向き、あの時と同じ…花の様な微笑みを浮かべる。 しかし、その笑顔は前にも増して儚く見えた。 「光くん、来てくれたのね」 「…それで、灯里さんは何故ここに?」 「最期にあなたといたかったからよ。 りんご飴の恩も忘れないわ」 『さいご』って、まさか…死ぬのか? 「灯里さん!!」 灯里さんは僕に近づき、僕の手を握った。 その手はとても暖かかった。 「…まだまだ会ったばかりなのにごめんなさい。いきなり“さよなら”なんて悲しいけれど…また来年も私を見つけて?」 また、来年も?? それに、『一週間後』の約束…。 まさか、灯里さんは。 「灯里さんは…蛍?」 そう言うと、灯里さんはふふふと笑った。 「…お見事ね、光。私は一週間の命なの。でも、またこの季節は来る」 何故だろう、まだ会って一週間なのに、僕の目からは涙が溢れていた。 「灯里さん…」 「来年は、私がりんご飴をあげるわ」 「待って、灯里さん!!」 僕は彼女の手を引こうとしたが、すり抜けてしまった。 どんどん薄くなっていく灯里さん。 (ありがとう…) そんな想いを残して、やがて灯里さんはこの世界からいなくなった。 赤い橋に一人ぼっちになった僕の手には、まだ新しいりんご飴が握られていた。 「来年も、絶対見つけますからね。」 まだ数匹だけ蛍が光っている。 僕は空気に溶けていった声が灯里さんに届けば良いな、と思いりんご飴を舐めた。 完 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー こんにちは、作者のあおねこです! 感想お待ちしてます♪ 辛口&タメ口OKです。 では!
みんなの答え
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おひさしぶりです!
おひさしぶりです! ちぃです! 最近コメントしてなくてスミマセン でもすべてのおはなしを読ませてもらってます!
いぃです! (小6)
一感想一 灯里ちゃん,ほたるなのか!って最後で。←気付くのおそぃ… とっても上手です!
同じ歳なのに、、、
同じ歳なのにこんなうまい文章が書けるなんて、、、すごい!! これからもガンバ!
すごい!感動的!!
すごいです!感動しました!年下なのにこんなお話が欠けるとは…!本当にすごいです。来年二人が会うのが楽しみです!! あと、たけのこの里さん、同い年だから言いますが自分より年下なのに「話もまあまあでも自慢したいんだよね。それがよく伝わってくるよ笑笑」はさすがに辛口OKでもかわいそうすぎです。せっかく頑張って書いたんだし…もうちょっと「期待しているよ。」とか応援のメッセージ入れたらどうですか。 でも、私は、あおねこさんのこと応援しています!
すごい!
最期は、文面上なら分かりますが、会話上ではわからないのでは? そこだけ少し違和感でした。 けど、話は大好きです!勝手な想像ですけど、灯籠とかが思い浮かびました。和の上品さと、あの淡い光の不思議さが伝わってきました。 同い年なのにすごいですね。尊敬します。 私の短編小説が惨めに思えてきましたわ。
好きです
蛍だったのか! なるほどね! 1週間っていうのは悲しいけど… 2人が来年も会えることが楽しみだなぁ りんご飴食べてみたい!! 実は、今まで1回も食べたことないんだよね… 食べたい~!! さすが!! あおねこさんの小説ほんとに大好き!!! これからもずーっと応援してるからね!! 次も楽しみに待ってるねー!!