短編小説みんなの答え:0

0度の魔法

「できた!」私の手元から先程折り終わった折り紙の鶴が飛び出す。「わあ!」 「すごいね!」と周りの学園の友達は私に駆け寄る。 私は特別な魔法が使えた。作ったものに命を吹き込む魔法だ。他の魔法はからっきしだったけれど私はこの魔法が大好きで私の自慢だった。 ある冬の事だ。 この地方では珍しく雪が沢山降り、今までで見たことがない程積もった日に私ははしゃぎながら雪だるまを作った。 「よいしょっと」重くて大きい雪玉を二つ重ね、バケツを背伸びして頭にかぶせマフラーを巻いてあげて、お目目とおててをつけてあげた。 北風が吹き、私が寒さにブルルと震え、少しお家の暖炉に当たろうかと考えていた時、後ろから「ありがとう」とお礼の声が聞こえたので後ろを急いで振り向くと雪だるまが喋っていたのだ。「ん?どうしたんだい?君がつくってくれたんだろう?」そっか...私が作ったから... 「よかったら、話相手になってくれるかい?可愛いお嬢ちゃん」雪だるまさんはそう優しく微笑んだ。「うん!もちろん」 その日から毎日、毎日雪だるまさんと遊んだりお話ししたり、沢山の事をした。新しい友達になったのだ。 気づくと雪だるまさんは小さくなっていて季節は春を迎えようとしていた。 「今日は暖かいねぇ。よかったねぇ」彼は私の足元でそう笑う。「そうだ!最期にハグしてくれないかい?」「でも...そんな事したら雪だるまさんが...」私が言葉を言い終わる前に彼は「お願いだよ。可愛いお嬢ちゃん」とパァァと明るく笑う。私は涙を拭き、彼を抱きしめ「命をくれてありがとう...楽しい冬だったね」と呟いた。 あれ以来季節が巡って冬が訪れて雪が積もっても雪だるまは作らなかった。 もう悲しい思いはしたくないし...それに... 私はアイスを食べようと冷蔵庫を開ける「やあ。おかえりなさい」 「ここんとこアイス食べすぎじゃないですか?」「えー。だって暑いんだもん、そっちはどう?」と私は笑いかける。 「いつもひんやりで魔法のようです!」 「いやぁ。ここに来た時を思い出しますね。ハグされたと思いきや、ここに押し込められて...おかげで命乞いしました」 「あーあ。早く冬来ないかなぁ」と私はアイスを齧りながら呟く。 これから季節が巡って雪が降っても、雪だるまを作ることはないだろう。だって冷蔵庫は彼とアイスでいっぱいなんだから。

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