【短編小説】ひとりじゃないから
「いらっしゃいませー。」 美容師さんの明るい声と共に入店する。 「今日は、どこまで切ります?」 「いや、もうバッサリ切っちゃってください」お尻まであったロングだったこの髪を、ショートにするならばものすごい長さになるであろう。美容師さんは難しい顔をしながら私の髪にハサミを入れていく。 失恋カット。 別に恋がしたくて好きになったんじゃない。 恋なんて、この年齢で、馬鹿らしいと思う。 ませてる。 「ありがとうございましたー。」 ずいぶんと軽くなった頭に、私は少しテンションが上がる。 でも、すぐに下がる。 これから、おばあちゃんのお見舞いにお母さんと病院にいくのだから。 悲しいのもあるけど、めんどくさい。申し訳ないけど、この想いがあるってことは、私はおばあちゃんにもう死んで欲しいという気持ちでいるのか。 最低だ。 「おばあちゃん、こんにちはー。」 偽りの笑顔で手を振る。 「あんた、誰かい?」 …え? 「お邪魔しました」 一言呟いておばあちゃんの病室をあとにする。 「誰?」なんて…孫なのに。 「きっと髪切ったからだよ」無理やり笑顔を作ってお母さんは言う。 やがて人は死ぬ。現世の記憶を失い、来世に落ちる。 それが悲しくて、仕方なかった。 ほんと馬鹿みたい。さっきまで死んで欲しいとか思って人を、しかもおばあちゃんを、言葉と行動で追い込んだのに。 今更悲しむなんて許されないだろう。 かつん。 かつん、かつん。 ゴロゴロゴロ… え?何? 前を見ると、1人の車椅子の少女がいた。 …痩せていた。 それしか言葉が出ず、ニット帽のようなものを被っている。…そうか。 「ごめんなさい、邪魔でしたよね…」 少女は苦笑した表情を浮かべながら言った。 「い、いや別に!大丈夫ですから…こちらこそすいません」 私は廊下の右側にずれながら反射的に謝った。 …なんだよ、反射的に、って… 「か、髪、短いんですね」 そう言われてビクッとした。 「いや、さっき切ってきたばっかりで…」 「そうなんですか!…あの…ヘアドネーションって、知ってます?」 へあどねーしょん? 「ヘアドネーション…ですか?ごめんなさい、分かりません」 「病気の方に、髪を寄付して、カツラを作るんですよ。1つ作るのに約30人分の髪が必要なんです」 は、はぁ…そんなのあるのか… 「嬉しいですよね、なんかそういうの。力を貰ってるみたいで…凄く、素敵」 「あ、ごめんなさい、私…」 少女は「?」という表情をしてこちらを見ている。 ー私そんなの知らなくて、ごめんなさい…ー …言えなかった。 その後、少女はお母さんに車椅子を押してもらいながら病室に入っていった…。 何か違う。 こんな想いを抱えて、もう1度おばあちゃんの病室へ向かった。 「おばあちゃん」 …寝てる。なんと言うか…可愛い。 私もこうなるのかな。 「私…人のためになりたい」 4年後 「いらっしゃいませ!今日はどこまで切りますか??」 私はいらっしゃいませを言う立場になった。 美容師になったのだ。 あれから、30cm髪を伸ばしてヘアドネーションをした。髪染めたいなって思ったけど、必死に我慢した。 人のためになりたいから。 あの病院での出来事から私は変わった。ボランティアも始めたし色々な募金だってしている 人のためになりたい。 前の私みたいに、偽りの言葉、笑顔をならないように、私は私を生きる。
みんなの答え
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おお!
私も美容師になりたいんですよ!! ヘアドネーションも知ってるんですけど、そこまで伸ばせれなくて… いい小説ですね! でも、「今日はどこまで切りますか?」じゃなくて、「どんな感じにしますか?」みたいな方がいいと思います。 切るだけじゃないと思うので。 でも良かったです! 次回作楽しみにしてます!