誰にも届かない手紙
春、それは出会いの季節。 私と誰かが出会ったのは裏山だった。 今から8年前の春休みの話。見波紗月(みなみ さつき)という少女は11才。紗月の地元は、畑がたくさんあるところだった。紗月は1人が好きで、その日もいつものように裏山にきていた。春の暖かい太陽が紗月に降り注ぐ。強い風が吹いて砂ぼこりが舞い、衝動的に紗月は目をつぶった。風が止み、目を開くとそこには見ない顔の少年がいた。紗月は驚く。 (こんなところに人が来るなんて。) 「ねえ、貴方は何をしているの?」 「遊んでる。つまらないから。あんたは?」 「私は散歩です。」 焦げ茶の髪と目をしたその少年は1つか2つ年上に見える。 「あんた名前は?」 「わ、私?紗月です……」 「紗月。敬語じゃなくて良いんだよ。」 その人は光星(こうせい)と名乗り、紗月の話を聴いてくれた。2人は毎日裏山で会うようになり、すぐに仲良くなった。ただ光星は、突然現れたり、自分の事をほとんど話さなかったり、不思議だった。 そんなことをしているうちに春休みも最終日。2人の友情はやがて愛情になっていた。紗月は今日告白すると決めていた。明日の午前中、光星は帰ってしまうから、これを逃すと会えないかもしれない。紗月は時間をかけて手紙を書いた。 (今日こそ私の気持ちを伝えるんた!) 裏山に行くと光星はめずらしく着いていた。 「光星お待たせ。私ね、今日が春休み最終日なの。だから明日は会えない…」 「そうなんだ……紗月、今までありがとう。」 それから2人いつものように過ごした。時間が経つにつれ、寂しさが込み上げてくる。ずっと今が続けば良いのにと思った。だが、時間は無情に過ぎていった。 「お別れなんて嫌だよ…。あのさ光星、好きです。付き合って下さい。」 「ごめん…ごめん……。」 紗月の頬を雫が伝う。 「だよね…私なんかがね……?」 次の言葉に紗月は驚いた。 「俺、5年前に死んでるんだ。俺の最後の願いを叶えてくれてありがとう。紗月、俺も大好きだよ……。」 そういいながら、光星は夕日にとけていった。 「どうして……。」 紗月は前に出していた手紙を握りしめた。裏山の少し乾いた土に涙が染みる。 「うわ、腫れてる……最悪。」 帰ってすぐ泣きながら寝たことを紗月は後悔した。 「なんで泣いてたんだっけ……?」 そう、紗月の記憶から光星は消えていた。成仏したからである。ふと机を見るとくしゃくしゃの手紙があった。 「なにこれ…… 『なにも教えてくれない君へ 会ったときから好きです。生まれてはじめてこんな感情になったの。付き合って下さい。これでお別れなんて嫌。離ればなれになったとしても、絶対私たちなら会える。自信あるよ?だから、もう来れないんだったら私が会いに行くから、付き合って。ずっとずっと大好きです。』 なにこれ……、君って…誰……?」 そう言いながら、再び涙が込み上げてきた。大好きなのにわからない、そんな苦しみを紗月は体験したことがなかった。 「あ!!もうこんな時間!行ってきます!」 「気を付けてね!」 慌ててランドセルを背負い、家を出る。なぜだか紗月の胸には勇気がわき出ていた。 「誰かさん、ずっとずっと大好きだよ。」 雲1つ無く、真っ青な空にそんな声が消えていく。 春、それは出会いの季節。 春、それは別れの季節。
みんなの答え
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上手だと思います。
すごく素敵な作品だったと思います。久しぶりに感想を言う気になれました。最近、案が浮かばなくて書けなくて。だけどアリスさんの投稿や答えを見て少し書けるようになりました。ありがとうございます。 次回も期待しています。
すごいね!!
本当にすごいね!!短編小説読むの好きなんですけどこんなに面白い小説はじめて読んだよ!!ファンに一瞬でなりました!!これからも頑張ってね!!!応援してるよ!!次回作楽しみに待ってます!! 初投稿より
ちょっと長かった
こんにちは タイトル通りです。もう少し要らないところを無くして簡潔にした方が読みやすいと思いました。 偉そうにすみません。 それでは
良き!
もっけ飴です(*´∀`*) 良いですね~、感動! ちょっと切なかったですね~ 光星が死んでいたなんて…笑 次回作も楽しみにしてます♪ それでは!
すごい(*´`)
三人称語りで話が進んでいくのはどうしてなんだろうと思いながら読んでいたら…そういう狙いが…すごいなぁ…。 素敵なお話でした!次作も楽しみにしています♪