後ろの席の男子は、私の髪の毛が好きなようで。
「お前の髪、好き。」 私の後ろの席にいる男子、笹木翔は突然そんなことを呟いた。 触る素振りも見せなかったのに、何で急にそんなこと。 「…頭打った?」 「打ってないから。」 それに、いつも口煩いこいつがそんな少女漫画に出てくるような臭い台詞吐くとか、真面目に怖い。 じっと私の髪の毛を飽きることなく見つめる翔に、もう一度「大丈夫?」と聞くと何故か叩かれた。酷い。 「夏樹、髪の毛いつも何かしてる?」 「何かとは」 「えー…例えばサラサラにさせるための… みたいな?」 「いや、うーん…えぇ?」 みたいな?なんてそんな私に聞かれても…風呂上がりは自然乾燥だし、トリートメントオイルみたいなのはつけない。 頭を洗う時もリンスinシャンプーだし、特に何も… 「…って、ちょっと待った。 翔も髪の毛サラサラにさせたいとか?」 「ちげーよばか。」 何で俺がそんなこと、とかぶつぶつ言って、頭の後ろをかいた翔。 その時、翔の少し長い前髪がさらりと揺れる。 「…言うけどあんたも髪の毛サラサラだよ。」 そう、前からずっと思ってたけどさ。 男子にしてはサラッサラだよなぁって。 「いや、俺のはどうでもいいし。」 「折角誉めたげたのに何で」 翔の頭を指差していた私の手を掴まれたかと思えば、ぺしっと追い払われる。 …ていうかちょっと動いただけでサラサラサラサラ、翔の頭主張し過ぎだし。 「坊主にすんぞ」 「ちゃんと資格取ってからな。」 「嘘だよ刈らんわ。 …でも、坊主似合うと思うけど。」 「じゃあそしたら夏樹はショートにして来い。」 お前髪の毛綺麗だから、何でも似合う。 何でもなさそうな顔付きで、今度こそ翔は私の髪の毛を触る。 指でくるくるいじってるけど、その手付きが優しくて。 「…一回触るごとに罰金、」 「げ、無理。」 一瞬心臓が口から出そうになるぐらい驚いて、思わず可愛くない言葉がぽろっと。 名残惜しそうにそろそろと離れる翔を見つめていると、不意に目が合った。 「…あっ。 反らしたからお前の負け。」 「いいよ負けで。」 でもだめだ。 何か目を合わせたらだめだ。 顔が多分、その、熱くなるから。 見ない見ないと呪文のように心の中で唱えてると、耳に入ってきたトドメの言葉。 「夏樹?」 「何、」 「言おうと思ってたんだけど。 今日のこの髪型、俺好き。」 「…」 あぁ、もう。 これだから無自覚な男は。 目が合おうと合わないと、へらりと笑ってまた私の髪の毛をいじる翔の言葉に、心臓がきゅんと締め付けられる。 さっきの言葉聞いてたのかよ、と心の中で思いつつも ちゃっかり明日もポニーテールで来ようと思った私だった。 -fin- ▽▼▽▼ 炎天下の中部活を必死で頑張る作者は、髪の毛パサパサのゴワゴワです。 全国の女の子、気をつけようね。
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
感想
キュンキュンするお話ですね。 思わず笑ってしまう所もあって、面白かったです。 あと、二人共髪がサラサラなのが少し羨ましいです(笑) これからも頑張ってください。応援しています。